演奏会・コンサートチラシの作り方|情報のまとめ方とデザインのコツ

演奏会のチラシは、その公演の「顔」です。お客様が手に取った瞬間に、どんな演奏会なのか、行ってみたくなるかどうかが決まります。たった1枚の紙ですが、集客・お知らせ・世界観づくりまで何役もこなす大切な印刷物です。

この記事では、ソロリサイタルから合唱団・吹奏楽部・市民オーケストラまで、幅広い現場で使える演奏会チラシの作り方をまとめました。載せる項目・サイズ・片面と両面の使い分け・配色・配布先ごとの工夫・印刷の基礎まで、迷いがちなところを順に解説します。

この記事の要点

  • 演奏会チラシは「集客・お知らせ・世界観づくり」の3役を1枚でこなします。情報をただ並べるだけでは刺さりません
  • サイズはA4が基本。迷ったらA4で問題ありません。A4以外を選ぶ理由は明確にしておきましょう
  • チラシには必ず載せる10項目+載せたい5項目を優先順位で入れます。情報を詰め込みすぎると逆に読まれません
  • 「人で売る」「曲で売る」「団体で売る」のうち、どの軸で売るかを最初に決めましょう。この分かれ道でレイアウトも配色も変わります
  • 配布先ごとに情報のまとめ方を変えます。ホール折込・はさみ込み・SNSで求められる要素が違うからです
  • 印刷は100部単位が基本。仕上がり確認は本番10日前が安全です。プロに頼む場合は片面A4 100部で2〜5万円、両面なら3〜7万円が目安

この記事を書いた人

コンサートデザイン

コンサートデザイン編集部

演奏会のチラシ・プログラム・チケットを年間200件以上手がけてきたコンサートデザインのスタッフです。クラシック・吹奏楽・リサイタルなど、現場を知る立場から役立つ情報をお届けします。

演奏会チラシが担う3つの役割

演奏会チラシは、1枚の紙で3つの仕事を同時にこなします。役割を意識すると、載せる項目やデザインの優先順位が自然に決まります。

チラシの3つの役割
  1. 集客: 手に取ってもらい、行ってみたいと思わせる
  2. お知らせ: 日時・会場・料金などの情報を正しく伝える
  3. 世界観づくり: 公演のテーマや雰囲気を一目で伝える

3役を同じ1枚でこなすため、「情報を全部載せる」だけではチラシは機能しません。どの情報をどう見せるかの組み立て方が、集客力に直結します。

集客としての役割

お客様は何百種類ものチラシの束から、興味のあるものを選び取ります。3秒以内に関心を引けないチラシは、束の中に埋もれて終わりです。タイトル・主役の絵や写真・短い宣伝文句の3点で、まず「これは見る価値がある」と思わせる必要があります。

お知らせとしての役割

日時・会場・料金・チケットの買い方など、来場に必要な情報を正しく伝える役割です。情報が抜けたり間違ったりしていると、集客したお客様が会場にたどり着けません。当たり前に見えて、ここがいちばん失敗しやすい部分でもあります。

世界観づくりとしての役割

デザインの色・書体・余白・写真が、公演の雰囲気を伝えます。クラシックの品格、吹奏楽の力強さ、合唱の温かさ、ジャズの遊び心——。お客様は言葉を読む前に、デザインから「これは自分向けの公演だ」と感じ取ります

三浦(プランナー)

三浦
(プランナー)

デザインのご相談でいちばん多いのは「情報を全部載せたい」というお声です。でも、束の中から選ばれるチラシは、情報量が多いものではなく、一目で「何の公演か」が伝わるものです。チラシの作り方は「何を載せるか」より「何を削るか」で決まります。

最初に決めること(サイズ・部数・片面/両面)

チラシづくりは「何を載せるか」の前に、サイズ・部数・片面か両面かを決めるところから始まります。このタイミングで予算の上限もある程度見えてきます。

サイズの選び方(A4が基本)

演奏会チラシで使われるサイズは、ほぼA4が基本です。迷ったらA4を選んで問題ありません。

サイズ 寸法 演奏会での位置づけ
A4 210×297mm 演奏会の基本サイズ。ホール折込もはさみ込みもA4前提が多い
A5 148×210mm A4の半分。簡単なお知らせ、費用を抑えたいとき向け
B5 182×257mm 演劇系で以前多かった。最近は減少傾向
変形 任意 ホール折込のルールに合わせる必要あり。束の中でそろう形に

A4以外を選ぶ理由を明確に: チラシは A4 の束の中に混ざって配られることが多いため、B5や変形サイズは束の中で埋もれるリスクがあります。A4以外を選ぶなら「記念として残したい」「写真集のようにじっくり見せたい」など、明確な理由が必要です。

片面と両面の判断軸

曲目数×出演者数の2×2マトリクスで片面・両面を判定する早見表
曲目数と出演者数の2軸で片面か両面かを判定する

片面と両面の選び方は、情報量と予算の折り合いで決めます。

片面で足りる目安
  • 曲目が3〜5曲以内
  • 出演者が3名以内
  • 発表会・小規模リサイタル・アンサンブル
  • 予算を抑えたい
両面が向いている目安
  • 曲目が6曲以上、またはオペラ・大規模な組曲
  • 出演者が4名以上
  • 指揮者・ソリスト・楽団員の紹介をくわしく載せたい
  • 曲目解説や作曲家紹介をチラシの段階で見せたい
  • 協賛・後援の団体が多く、ロゴを載せる場所が必要

価格差の目安

コンサートデザインの料金で片面と両面を比べると、A4 100部で片面¥17,060/両面¥28,480です。大量に印刷するほど紙代の割合が大きくなるため、片面と両面の価格差は縮まります。2,000部以上を印刷するなら、両面の情報量の良さが勝るケースが多くあります。

部数の決め方

部数は配布先と来場目標の積み上げで決めます。

部数の内訳の目安
  • ホール折込・はさみ込み: 折り込みを使う公演数 × 300〜500部(同じホールで近い時期に別の公演がいくつあるかで決まります)
  • 音大・音楽教室への配布: 学校数 × 50〜100部
  • 出演者・関係者配布: 出演者数 × 10〜20部
  • 地域の掲示板・商店街: 20〜50部
  • 郵送用のチラシ: 送付先リストの数
  • SNS用・記録保存: 10〜20部

100席規模の会場なら500〜1,000部、300席なら1,000〜2,000部、1,000席なら3,000〜5,000部が一つの目安です。ただし印刷は100部単位の注文が基本なので、計算した数に一番近い100部単位で発注します。少し余るくらいが、追加注文の手間と費用を考えると結果的に安く済みます。

三浦(プランナー)

三浦
(プランナー)

部数で失敗しやすいのは「足りなくて途中で追加」のパターンです。追加注文は別の印刷回として扱われるため、1部あたりの値段が跳ね上がります。最初から2割多めに刷って、余ったら記録保存やSNSのお知らせに回すのが安全です。

チラシに載せる項目と優先順位

演奏会チラシに入れるべき情報は、必ず載せる10項目と載せたい5項目に整理できます。まず必ず載せる項目を漏れなく載せ、その上で載せたい項目を優先順位に沿って加えていきます。

必ず載せる10項目

これが抜けるとお客様が会場にたどり着けません。

# 項目 書き方のポイント
1 公演タイトル 一目で内容が伝わる文字量。サブタイトルや短い宣伝文句で補強
2 日時 年・月・日・曜日・開場時間・開演時間をそろえて記載
3 会場 正式名称+ホール名(大ホール・小ホールの区分も含む)
4 出演者 氏名+担当楽器・役割(指揮・ソリスト等)。読みにくい名前はローマ字を併記
5 曲目 作曲家名と曲名を同じ書き方でそろえる(日本語・原語)
6 チケット料金 自由席/指定席、席の種類、学生券、税込表記
7 チケットの買い方 プレイガイド名・電話・URL・QRコード
8 主催 正式名称で表記
9 問合せ先 電話・メール・URLのいずれか
10 行き方 最寄駅・徒歩分数。地図がある場合は最新版を確認

載せたい5項目

信頼感と集客力を上げる要素です。

載せたい項目
  • 出演者の紹介文・顔写真(文字量が違う2パターンを用意しておくとレイアウトがしやすい)
  • 後援・助成・協賛・協力団体(信頼感の裏付けになる)
  • 注意事項(未就学児の入場制限、曲目変更の可能性、写真撮影禁止など)
  • QRコード(チケット購入ページ、公式サイト、SNS、試聴動画など)
  • 著作権情報(JASRAC申請が必要な楽曲を使う場合)

QRコードの載せ方のポイント

QRコードは載せたい項目の中でも特に集客の効果が高いため、載せ方の基本を押さえておきます。

  • 最低1.5cm四方。周りに余白を確保する
  • つやのあるコート紙では反射で読み取りにくいことがある。マットコート紙が向く
  • 表裏両面に載せると読み取り率が上がる
  • 必ずテスト印刷で読み取り確認する
  • QRの隣に「チケット購入はこちら」など案内文を添える
  • 入れるURLはずっと使えるものを選ぶ(期間限定のURLなら終了後の転送設定をしておく)

載せすぎの落とし穴

情報を多く載せるほど親切に見えますが、情報が多いチラシは、結果的に何も伝わらないチラシになります。優先順位の低い項目は、公式サイトへQRコードで誘導するのが賢い方法です。

情報の優先順位とレイアウトの基本

Z型・F型・N型の3パターンの視線動線の図解
Z型・F型・N型の視線動線。演奏会チラシはZ型がよく使われる

お客様の視線は、チラシを見るときに決まったパターンで動きます。このパターンに合わせて情報を配置すると、短い時間で要点が伝わります。

視線の動き3パターン

動き方 向いている場面
Z型 左上→右上→左下→右下 情報量が中くらい、左上から読むチラシの定番
F型 上を横に→次の行を横に→… 情報量が多い、じっくり読ませるチラシ向き
N型 右上→右下→左上→左下 縦書きデザイン、和のイメージ

演奏会チラシは Z型がよく使われます。左上に主役の絵・写真、右上にタイトル、中央に日時・会場、下部に出演者・曲目・料金・問合せという流れが典型です。

優先順位のつけ方

タイトル・日時・会場・出演者の4つが最優先です。それ以降の優先順位は、公演の性質で変わります。

情報の優先順位(一般例)
  1. 公演タイトル・短い宣伝文句
  2. 日時
  3. 会場名
  4. 出演者・指揮者・ソリスト
  5. 曲目(代表曲を数曲)
  6. 料金・チケットの買い方
  7. 主催・問合せ先
  8. 後援・協賛
  9. 行き方
  10. 注意事項・QR

方眼と余白の使い方

レイアウトの基本は方眼(グリッド)に沿って要素を並べ、十分な余白を取ることです。情報を端ギリギリまで詰め込むと、窮屈な印象になり読み飛ばされます。

  • 文字や要素の安全領域: 文字や大切な要素は、仕上がり位置より内側に5mm程度の余白を取って配置する。端から3mm以下は断裁のずれで文字が切れる心配がある
  • 行間: 本文は文字サイズの1.7〜1.8倍
  • 見出しと本文の差: 見出しは本文の1.5〜2倍の大きさにして、はっきり差をつける

「人で売る」「曲で売る」「団体で売る」のどれにするか決める

演奏会チラシで最も作り方に影響するのが、どの軸で売るかの選択です。「人で売る」「曲で売る」「団体で売る」の3つから最初に決めると、レイアウトも配色も写真選びも自然に固まります。

人で売るチラシ

奏者・指揮者・ソリストの個性を前面に出すチラシです。

人で売るチラシの特徴
  • 奏者の大判の顔写真が主役(顔がわかる明るい写真)
  • タイトルは奏者名と肩書きが中心(例: 「〇〇 リサイタル」「〇〇&〇〇 デュオ」)
  • 出演者の紹介文を紙面の半分近く使う
  • 配色は奏者の雰囲気に合わせる(繊細・力強い・華やか など)

向いている公演: ソロリサイタル、デュオ、著名演奏家のゲスト公演、教室発表会(講師が主役)

曲で売るチラシ

演目の世界観や物語を前面に出すチラシです。

曲で売るチラシの特徴
  • 演目を思い起こさせる絵が主役(風景写真、抽象モチーフ、歴史画など)
  • タイトルはテーマやプログラム全体の核となる考え方を表現
  • 曲目を読みやすく整理し、曲目解説を短く添える
  • 配色は演目の時代・地域・情景に合わせる

向いている公演: オーケストラ定期演奏会、テーマのある企画公演(○○没後100年、戦争と音楽など)、オペラ、合唱団の定期演奏会

団体で売るチラシ

吹奏楽部・合唱団・市民オーケストラなど、団体そのものへの愛着を前面に出すチラシです。

団体で売るチラシの特徴
  • 団体ロゴや団体名のシンボルが主役
  • 第○回という回数表記で、年間行事としての認知を重ねていく
  • 部員・団員の集合写真や演奏風景を使う
  • テーマカラーや団体の伝統色を前面に
  • 来場者の多くは団体のファン・関係者(保護者・卒業生・地域の方)

向いている公演: 吹奏楽部の定期演奏会、市民オーケストラの定期演奏会、合唱団の定期演奏会、学校行事(文化祭・卒業演奏会)

団体で売る場合は、シリーズを通じたデザインの統一が特に効きます。第1回から同じ型で色味だけ変えると、お客様が「あの団体の定期演奏会が今年も来た」と一目でわかるようになります。

シリーズ公演のデザイン統一

年に複数回の公演を行う主催者(定期演奏会、市民オーケストラ、合唱団など)は、シリーズを通じたデザインの統一が効きます。毎回同じ型で色味だけ変えると、お客様が「このシリーズだ」と一目でわかるようになります。

三浦(プランナー)

三浦
(プランナー)

「人で売る・曲で売る・団体で売る」の判断は、意外と見落とされがちです。年間200件以上のご依頼を見ていて一番多いのは、「3つの軸が混ざってしまい、どれも弱くなる」パターン。迷ったら、チケット購入を決める一番の理由を考えてみてください。「この人の演奏を聴きたい」なら顔写真が中心、「このプログラムを聴いてみたい」なら演目を前面に、「この団体を応援したい」なら団体ロゴと集合写真を前面に。軸を1つに絞ると、伝わる力が一気に強くなります。

ジャンル別の配色と書体

クラシック・吹奏楽・合唱・ジャズ・リサイタルのジャンル別配色パレット
5ジャンルの定番配色パレット(各3色)

配色と書体は、チラシを見る側に公演のジャンルと雰囲気を直感的に伝えます。ジャンル別の定番パターンを知っておくと、デザインの方向性を早く固められます。

クラシック(3パターン)

パターン 配色 雰囲気
伝統型 紺×金、深緑×金、ワイン×アイボリー 格調・品格。定期演奏会の定番
現代型 白×黒×差し色(朱・青) すっきり・現代的。若い世代向け
やわらか型 アイボリー×パステル×淡いゴールド やさしい・親しみやすい。発表会・アマチュア公演

書体は明朝体が基本です。タイトルに大きめの明朝、本文に読みやすい明朝またはゴシックを組み合わせます。

吹奏楽(2パターン)

パターン 配色 雰囲気
力強い型 濃紺×赤×白、黒×金×赤 勢い・情熱。部活動の定期演奏会
テーマカラー型 その年のテーマに合わせた単色+補色 今年らしさ。団体のまとまった印象づくり

書体はタイトルに太めのゴシック。力強さを出したいときはアクセントに手書き風を使うこともあります。

合唱(2パターン)

パターン 配色 雰囲気
温かい型 ベージュ×ブラウン×コーラル、淡い茜色 温かさ・人のつながり
自然型 緑×白×淡い青 すがすがしさ・透明感

書体は読みやすさを優先します。年齢層が高めの合唱団では、本文は12pt以上を確保します。

ジャズ・リサイタル・現代音楽

ジャンル 配色の傾向
ジャズ 黒×金×ネオンブルー、深紫×オレンジ(夜の情景)
リサイタル 奏者の個性に合わせる。モノトーン+1色の差し色が多い
現代音楽 黒×蛍光色、抽象モチーフと余白、無機質な配色

書体選びの基本

  • 見出しと本文で2種類までに絞る(3種以上は散らかって見える)
  • 太字と細字の対比でメリハリをつける
  • 日本語と英字のバランスをそろえる(英字が崩れると日本語も崩れて見える)
  • 無料素材の書体は利用条件を確認する(業務で使えるか、配り直しができるか)

写真・イラスト・文字デザインの使い分け

チラシの主役は3つに絞られます。写真、イラスト、文字そのものをデザインにしたものの、どれを主役にするかで印象が大きく変わります。

3つの見せ方の特徴
  • 写真: 情報の具体性が高い。人で売るチラシに向く。解像度と明るさの管理が必要
  • イラスト: 世界観の自由度が高い。曲で売るチラシに向く。有料イラストは業務で使える利用条件を確認
  • 文字デザイン: 文字そのものを絵のように使う。現代的・シンプルな公演に向く

組み合わせのコツ

  • 写真+文字デザイン: 人で売る定番パターン。奏者の顔と大きな名前で成立する
  • イラスト+文字デザイン: 曲で売る定番パターン。テーマを絵にして文字で補強する
  • 写真+イラスト: 難易度が高い。奏者の写真の上に小さなイラストを重ねる程度に抑える

写真を使うときの仕様

奏者の写真を使う場合は、印刷用の解像度を満たすものを用意します。

  • 解像度: 原寸で300〜350dpi
  • プログラム掲載(横4×縦5cm程度)の顔写真: 1000×1250px以上
  • 大判の顔写真(A4の半分程度): 2500×3200px以上
  • LINEやメール添付で縮小されたJPEGは使えない。ファイル便やクラウドストレージで元のサイズで受け取る

配布先別の情報のまとめ方

ホール折込・はさみ込み・音大・地域掲示板・SNSの5配布先と効く要素の比較
5つの配布先と、それぞれで効く情報要素の比較

演奏会チラシは配布先で求められる情報が変わります。すべてを同じチラシでこなそうとすると、どの配布先でも中途半端になります。

主な配布先5つ

配布先 特徴 適した情報
ホール折込 他の公演のチラシと束で配布 束の中で目を引くタイトル・絵
はさみ込み プログラム冊子に挟む 同じジャンルのお客様に深く届く情報
音大・音楽教室 学生・音楽愛好家への配布 曲目・奏者の経歴など専門的な情報
地域の掲示板・商店街 地元のお客様への露出 行き方・親しみやすさ
SNS・デジタル 画像として拡散 正方形版・QR・短い宣伝文句

ホール折込の単価と実務

ホール折込は折込代行の専門会社が仲介しており、1枚あたり4〜6円程度が目安です。部数と公演数で料金が変わります。折込のルール(A4の束の中でそろう形)を満たすサイズ・厚さの指定があります。

配布部数は「席数の10〜20倍」が現場の目安です。500席なら5,000〜10,000枚、1,000席なら10,000〜20,000枚が参考値となります。

ホール折込は2つの締切に注意します。「配布公演日」は自分の公演日ではなく、自分のチラシを折り込んでもらう相手の公演日を指します。

  • 印刷の仕上がり確認の締切: 配布公演日(折り込んでもらう相手の公演日)の1〜1.5か月前
  • 業者への送付締切: 配布公演日の約2週間前

自分の公演の本番から逆算すると、ホール折込を使う場合は本番2.5〜3か月前までに印刷を終え、相手の公演日の2週間前までに業者へ送る流れです。

はさみ込みの実務

はさみ込みは、同じホールや近隣ホールで行われる公演のプログラムに自分たちのチラシを挟んでもらう方法です。

  • 主催者同士の直接交渉(お互いに挟み合う形なら無料が原則)か、はさみ込みの専門業者を通す
  • 曲目やジャンルが近いほど効果が高い
  • 1公演あたり300〜500部を挟むのが一般的
  • 業者経由の場合は1枚4〜5円程度が目安

SNS・デジタル告知用の別バージョン

紙のチラシをそのままSNSに載せるのは効果が薄いです。SNSには別バージョンが必要です。

  • Instagram投稿: 正方形(1080×1080px)。タイトルと絵に絞る
  • Instagramストーリーズ: 縦長(1080×1920px)。QR・リンクで誘導
  • X(Twitter)/Facebook: 横長(1200×630px)。SNSで表示されやすい画像サイズ
  • LINE: 正方形+詳細カード形式

デザインを外に頼むときは、紙版と合わせてSNS用3〜4パターンを一緒に依頼するのが効率的です。

来場しやすさの情報

車椅子席・手話通訳・託児・親子席の情報は、載っていないことで来場をあきらめるお客様を生みます。上位の競合記事ではほとんど触れられていない観点ですが、実務では重要です。

チラシに載せるべき来場しやすさの情報

載せておきたい項目
  • 車椅子席の有無と予約方法(「車椅子席あり。お問い合わせください」の一言でも可)
  • 補助犬の同伴可否
  • 手話通訳・文字通訳の有無(必要な場合)
  • 託児サービスの有無と申込先(子育て世代の主なお客様の公演では特に)
  • 親子室・親子席の有無(0歳から入場できる公演か)
  • 年齢制限(未就学児入場不可の場合は目立つ場所に)

書き方

QRコードで公式サイトの「来場のご案内」ページへ誘導するのが、紙のスペースを節約する現実的な方法です。チラシには「詳細は公式サイトをご覧ください」と書いておけば十分です。

公式サイト側の準備

公式サイトに「来場のご案内」の固定ページを作っておくと、毎回チラシに細かく書かなくて済みます。一度作れば公演ごとに更新する内容も最小限で済みます。

自作と外注の判断軸

「自分で作るべきか、プロに頼むべきか」は、6つの軸でシンプルに判断できます。

判断の目安(6つの軸)

判断の軸 無料ツールで自作 プロに外注
予算 0〜5,000円 2〜10万円
ジャンル 発表会・サークル・学内公演 有料公演・チケット販売あり
部数 100〜300部 500部以上
印刷品質 家庭用プリンター・ネット印刷 商業印刷(オフセット)
デザインのこだわり シンプルで良い 公演の世界観を反映したい
時間 自分で作る余裕がある ほかの準備に集中したい

右側に当てはまる軸が多いほど、プロへの外注が向きます。有料公演のチケット販売を伴う場合は、印刷品質とデザインの質がチケット売上に直結するため、外注の費用対効果は高くなります。

Canvaで自作する場合の注意点

Canvaは演奏会チラシの日本語の型が豊富で、無料プランでも十分な仕上がりになります。ただし、有料公演の商業印刷に使う場合、Canvaの無料版では印刷会社の入稿に必要な要件(CMYK・塗り足し・フォント埋め込みPDF)をすべて満たせないことに注意してください。発表会やサークル公演などで家庭用プリンター・少部数のネット印刷で配る分には問題ありません。

Canvaで自作する場合の注意点
  • 印刷用の色の書き出し(CMYK)は有料プラン限定。無料版は画面用の色(RGB)のPDFになり、印刷会社で自動変換される際に色がわずかにずれる
  • 塗り足し設定は手動で行う必要がある。標準の仕上がりサイズにそのまま要素を配置すると、断裁で切れる心配がある
  • 書体の埋め込み: PDF書き出し時に書体が埋め込まれないケースがある。印刷会社のルールを確認
  • 海外の型が多いため、クラシック演奏会の雰囲気に合わないものもある

プロに頼む場合の料金相場

内容 料金の目安
片面A4 100部 2〜5万円
両面A4 100部 3〜7万円
片面A4 300部 3〜6万円
両面A4 500部 5〜10万円
デザインのみ(印刷は別) 1〜5万円
チラシ+ポスター+プログラム+チケット4点セット 10〜30万円程度(セット割引を設けるデザイナーが多い)

相場はデザイナーの経験・地域で幅があり、上の表は複数の制作会社が公開している料金を見て整理した目安です。コンサートデザインの片面A4 100部は¥17,060、両面¥28,480で、業界内では標準〜やや下の位置づけです。

シリーズ制作でまとめて頼むメリット

チラシ単品より、ポスター・プログラム・チケット・招待状を同じデザイナーにまとめて頼む方が、結果的に安く済むケースが多くあります。理由は次の通りです。

  • 世界観の統一が自動的に取れる
  • 素材(写真・ロゴ・配色)の使い回しで制作時間が短くなる
  • パック料金で割引になることが多い
  • 修正の指示が一度で全ての印刷物に反映される

コンサートデザインではチラシ+ポスター+プログラム+チケットのセット発注も承っています → お見積もりのお問い合わせ

制作スケジュール

本番4か月前からのチラシ制作ガントチャート
本番4か月前から逆算した標準スケジュール

演奏会チラシは本番から逆算してスケジュールを引きます。ホール折込に間に合わないと集客の機会を大きく失うため、本番3か月前の完成が一つの基準です。

本番3か月前からの逆算

本番までの期間 やること
4か月前 出演者・曲目・料金の確定、デザイナーへの発注
3か月前 デザイン初稿の提出、関係者校正
2.5か月前 デザイン第2稿、最終校正
2.5〜3か月前 印刷会社への入稿・校了(ホール折込の締切がこの時期)
2.5か月前 印刷納品・配布開始
当日 会場配布

ホール折込は本番2.5〜3か月前が多くの会場の締切です。この時期までに印刷を終えておく必要があります。

校了のタイミングの考え方

校了とは「これ以上の修正をしない」と決めた状態のことです。校了後は印刷工程に入るため、原則として修正できません。曲目変更や出演者交代の可能性を考えて、校了を本番2.5〜3か月前に置くのが安全です。

印刷・納品の待ち時間

  • 通常納期: 入稿から納品まで5〜10営業日
  • 急ぎ: 3〜5営業日(割増料金)
  • 超特急: 翌日〜2営業日(大幅割増)

急ぎプランは料金が1.5〜2倍になることもあるため、通常納期で間に合うスケジュール設計が結果的に安くつきます。

三浦(プランナー)

三浦
(プランナー)

制作スケジュールで一番つらいのは「曲目変更」と「出演者交代」のあとです。校了後に変更が入ると、差し込みの訂正紙を配るか、最悪は増刷が必要になります。初稿提出の時点で、変更の可能性がある要素(ゲスト出演者、演目の最終確定など)はあらかじめ共有しておくと、柔軟に対応できます。

印刷と入稿の基礎知識

プロに頼むなら印刷会社とのくわしいやり取りは任せられますが、自作する場合は入稿のルールを押さえておく必要があります。

用紙の選び方

演奏会チラシでよく使われる用紙は3種類です。

用紙 特徴 向いている場面
コート紙 つやがあり発色が鮮やか 写真中心、華やかな公演
マットコート紙 落ち着いた質感、反射が少ない クラシック、読ませる情報が多い
上質紙 紙の自然な質感 手書きの温かさを出したい、小規模リサイタル

QRコードを載せるならマットコート紙が向きます。コート紙は反射でQRが読み取りにくくなることがあります。

用紙の厚さ

チラシで使われる厚さは90kg(薄め)から110kg(標準)が一般的です。

用紙重量(四六判) g/m²換算 使い道
70〜73kg 約81〜85g/m² 新聞折込など軽量向け
90kg 約105g/m² チラシの標準
110kg 約128g/m² しっかり見せたい、保存してほしい
135kg 約157g/m² ポスター並みの存在感

データ作成の基本ルール

入稿データの必ず守るルール
  • カラーモード: CMYK(印刷用の色表現。RGBのままだと色が変わる)
  • 解像度: 原寸300〜350dpi
  • 塗り足し(ドブ): 仕上がりサイズより外側に3mm(A4なら216×303mmで作成)
  • 安全領域: 文字・ロゴは仕上がり位置より内側3mm以上
  • 書体: アウトライン化するか、PDF/X-4形式で保存
  • トンボ: 仕上がり位置を示す印。印刷会社の型を使う

塗り足しは、断裁のずれで白い縁が出るのを防ぐための余白です。仕上がり位置ギリギリまで色を配置したい場合は、必ず塗り足しを設けます。

安全領域は、文字や大切な要素が断裁で切れないための余白です。仕上がり位置の内側に3mm以上の余裕を持たせます。

PDF/X-4 形式

印刷用に最適化されたPDF形式です。書体の埋め込み、CMYK変換、画像の埋め込みが済んだ状態で、どの印刷会社でも同じように出力できます。IllustratorやInDesignから書き出すときは、必ずPDF/X-4形式を選びます。

よくある失敗と防ぐコツ

現場でよく起こる失敗を、防ぎ方と合わせてまとめます。

情報の抜け・間違い

最も多い失敗です。特に料金・開演時間・チケットの買い方は二重三重に確認します。

防ぎ方: 校正チェックリストを作り、主催者・出演者・デザイナーの3者で別々にチェックする。

塗り足し忘れ

入稿データに塗り足しがなく、断裁で白い縁が出る失敗です。

防ぎ方: 印刷会社の型を使う。PDF書き出し後に裁ち落とし領域が正しく出ているか確認する。

書体の埋め込み漏れ

印刷所のパソコンに同じ書体がなく、別の書体に置き換わって出力される失敗です。

防ぎ方: PDF/X-4形式で書き出す。Canvaの場合は「印刷用PDF」設定を使う。

QRコードが読めない

光沢紙の反射、小さすぎるサイズ、印刷の線数で読み取れなくなる失敗です。

防ぎ方: マットコート紙を選ぶ。最低1.5cm四方。テスト印刷でスマホ複数機種で確認。

解像度不足で写真がぼやける

ウェブ用の72dpi画像をそのまま使ったときに起きます。

防ぎ方: 原寸300dpi以上の画像を確保する。足りない場合は再撮影を依頼する。

ホール折込の締切に遅れる

本番2.5〜3か月前の締切を見落として、折込できなかった失敗です。

防ぎ方: 折込予定のホールに早めに問い合わせる。折込カレンダーをデザイナーと共有する。

校了後の変更

校了後に曲目変更や出演者交代が発生する失敗です。

防ぎ方: 校了を本番2.5〜3か月前に置く。変更の可能性が高い要素(ゲスト、演目の最終確定)は初稿の段階で共有しておく。

色がイメージと違う

画面で見たイメージと、印刷後の色が違う失敗です。

防ぎ方: CMYKに変換して色を確認する。微妙な色はテスト印刷する。長期発注なら印刷会社に色見本を依頼する。

コンサートデザインのチラシ制作

コンサートデザインでは、演奏会・コンサートチラシの制作をお受けしています。年間200件以上の実績から、ソロリサイタル・吹奏楽・合唱・オーケストラなどあらゆる編成に対応します。

サンプル

過去に制作させていただいたチラシのサンプルは制作実績ページでご覧いただけます。クラシック・吹奏楽・合唱・ジャズなど、さまざまなジャンルの実例を掲載しています。

商品仕様

項目 内容
サイズ A4(210×297mm)※その他のサイズは相談可
印刷紙 コート紙90kg/マットコート紙90kg(その他の紙は相談可)
仕様 片面カラー/両面カラー
印刷単位 100部単位
納期 原稿一式を受け取ってから翌営業日〜7営業日ほどで初稿提出
修正回数 無制限

※ コンサートデザインは当サイトの運営サービスです。

料金表(抜粋・税込)

部数 片面カラー 両面カラー
100枚 17,060円 28,480円
300枚 19,090円 30,330円
500枚 20,760円 32,000円
1,000枚 26,590円 37,280円
2,000枚 29,930円 41,910円
3,000枚 33,260円 46,040円

※ 消費税・デザイン代・用紙代・印刷代・送料がすべて含まれます
※ 100部単位の注文です。完全な料金表はチラシ制作ページでご確認いただけます

オプション

オプション 内容 料金
地図作成 会場までのオリジナル地図 1,500円
画像加工・修正 チラシに使う画像の修正 1,500円〜
イラスト作成 オリジナルイラストの制作 要見積もり

ご予算や編成に合わせて最適な仕様をご提案します → お見積もりのお問い合わせはこちら

よくある質問

Q. 演奏会チラシのサイズは何が一般的ですか?

A4(210×297mm)が基本です。ホール折込もはさみ込みもA4前提が多いため、迷ったらA4を選びます。情報量が少ない発表会ならA5、大判で見せたい場合のみ変形サイズを検討します。

Q. チラシに必ず載せるべき情報は何ですか?

10項目あります。公演タイトル、日時、会場、出演者、曲目、チケット料金、チケットの買い方、主催、問合せ先、行き方です。載せたい項目として、出演者紹介、後援・協賛、QRコード、注意事項、著作権情報が加わります。

Q. 片面と両面はどう決めればよいですか?

曲目が5曲以内で出演者3名以内なら片面で十分です。曲目が6曲以上、出演者4名以上、または曲目解説を載せたい場合は両面が向きます。費用は片面が安いですが、大量印刷のときは両面との差が縮まります。

Q. 演奏会チラシはいつまでに作ればよいですか?

本番2.5〜3か月前までに完成させるのが基本です。多くのホールが折込の締切を本番2.5〜3か月前に設定しているためです。デザインを外に頼むなら本番4か月前に動き始めるのが安全です。

Q. チラシ制作の費用はどれくらいですか?

発表会規模(100〜500部)の自作なら印刷代だけで5,000〜2万円程度、プロに頼む場合はデザイン+印刷込みで片面A4 100部2〜5万円、両面3〜7万円が目安です。コンサートデザインでは片面A4 100部で¥17,060、両面¥28,480です。

Q. 自作と外注はどちらが良いですか?

有料公演でチケット販売を伴う場合はプロに頼むのが向きます。発表会やサークル公演ならCanvaなどの無料ツールで十分な仕上がりになります。判断の軸は予算・ジャンル・部数・印刷品質・こだわり・時間の6つです。

Q. ホール折込の依頼はどうすればよいですか?

ホールに直接問い合わせるか、コンサートサービス社などの専門会社を通します。印刷の校了は本番2.5〜3か月前までが目安で、業者への送付は配布公演日の約2週間前が標準です。1枚あたり4〜6円程度が単価の目安で、配布部数は席数の10〜20倍が現場の目安です。

関連記事

コンサートデザインが提供していること

コンサートデザインはクラシックや吹奏楽などの演奏会のチラシやプログラム、チケットなどを専門に、年間200件以上の実績があります。ソロリサイタルから大きな定期演奏会まで、編成や予算に合わせた最適な一枚をお作りします。

お見積もりは無料です。公演日・会場・編成・ご希望のページ数の4点をお知らせいただければ、概算をお返しします。

お問い合わせはこちら
ご利用ガイドを見る
制作実績を見る