たまには真面目な記事を書いてみようと思います。
まずは吊りマイクについて。
ホールでよく見かける頭上に吊り下がっている二つのマイク、あれのことです。
通常、クラッシックのコンサート録音を行う場合には必ず使います。
この吊りマイク、位置の調整を電動(ホールによっては手動)で行うことが出来ます。
ここを調整して、マイクをオーケストラに近い位置にするか、
それとも離れた位置にするのかで、収録される音にはかなりの違いが生まれます。
奏者に近い位置にセッティングした場合には、楽器からの直接音を多く拾うことになります。
つまり反射音(響き)が直接音よりも少ないため、ホール特有の響きをうまく捕らえることが出来ません。
この位置にセッティングするメリットは、客席から発生する不要なノイズを軽減出来ることです。
対して、離れた場所にセッティングした場合、ホールの響きを含めて録ることが出来るのですが、
マイクは客席の頭上に位置してしまうため、例えば演奏中にお客さんがたてる不要な物音なども収録されてしまう可能性が増えます。
では、結局どの位置にすればいいのかというと、
録音する対象の編成(オーケストラなのか小編成アンサンブルなのか)、
マイクの指向性や二本のマイク間の距離、マイクの角度、録音方式など、
様々な項目が関連してくるので、最終的には自分の耳で聴いて判断するしかありません。
ケースバイケースなので、という、なんとも曖昧な締め括りになってしまいましたが。
こればっかりは、正にケースバイケース。現場で判断するしかありません。
たまに、ホールスタッフさんにお願いする録音と貴社にお願いする録音はどこが違うのですか?
という質問を頂くのですが、ホールの音響さんの仕事は主に会場内の音響調整がメインです。
録音をメインでやっているわけではないので、オーケストラ団体ごとにマイクの調整をしたり、
こういう編成だからマイクの位置はここで、こういう指向性のマイクを使って角度はこう、
というところまでやってもらうことは出来ません。
収録されたCDは曲目ごとにトラック分けされているわけではないので、
CDプレイヤーやiTunesに入れても全ての曲で1曲というふうに表示されてしまします。
さらに、音質や音量の調整(マスタリング)もされていない状態ですので、
曲ごとにレベルや音質のバラつきがあります。ですので、これはあくまで確認用の音源と言えます。
うちでは事前に編成や曲目、構成などを把握して最適なプランニングを行います。
当日はリハーサルの段階からお伺いさせて頂き、細かいマイクの調整やレベル確認、
演奏形体や求める音像によってはマルチマイク(3点吊りマイク以外にも複数のマイクを使用)
を設置し、本番までを完全オペレートします。
レコーディングした音源は持ち帰り、イコライジングや不要なノイズの削除、
その他微調整、トラック分けなどの様々な工程を施したマスタリングを経てCDに収録されます。
また、ジャケットやレーベルのデザインも行っておりますので、
その日だけのコンサートを大切な思い出として末永く保存頂けます。
と、、たまにはまともなことを書いてみました。
技術的なことを書きはじめると、実は他にもいろいろあるのですが今日はこのへんで!