
行事の記録は残したい。けれども保護者から「うちの子は撮影しないでほしい」という申し出がある。撮影を業者に頼んでよいものか、それとも今年は見送るべきか。学校の先生から、そういうお声をいただくことがあります。
先にお伝えすると、撮影自体は引き受けられます。ただし対応できることには限りがあり、そこを最初にはっきりさせておかないと、映像ができあがってから話が食い違います。この記事では、当日の段取り、編集でできることとできないこと、そして保護者にどうお伝えするかを順にお伝えします。
スクールメモリー(株式会社パブット)は、学校の音楽行事の撮影と録音を専門にする制作会社です。演奏会を含め年間200件以上の収録をお受けするなかで、先生からよくいただくご相談と、よく調べられている質問をもとにまとめました。

この記事の監修
スクールメモリー編集部株式会社パブット
学校の音楽行事(合唱コンクール・音楽会・学芸会・卒業式)の撮影・録音を専門にする制作チームです。演奏会を含め年間200件以上の収録をお引き受けし、関東を中心に学校の行事を現場で記録しています。JASRACと利用許諾契約を結んだ事業者の一覧に掲載されており、卒業記念用とコンクール用の著作権の手続きを学校に代わって行っています。
この記事の要点
- 撮影を控えてほしい児童生徒がいても、行事の撮影自体は引き受けられます。
- スクールメモリーでは撮影を通常どおり行い、その児童生徒の顔には編集の段階でモザイクをかけます。
- そのため、座席の組み替えや立ち位置の指定など、当日に学校側で特別な段取りをしていただく必要はありません。
- できるのはモザイクだけで、その児童生徒が映っている場面を丸ごとカットしたり、別の映像に差し替えたりはできません。
- お渡しする映像は「その児童生徒が映っていない映像」ではなく、「その児童生徒の顔が分からない映像」になります。
- 顔にモザイクをかけても、歌声や司会の声などの音はそのまま残ります。
- 対象の児童生徒の名前と、学校で管理している顔写真をお預けください。
1.撮影を控えてほしい児童生徒がいても、行事の記録は残せます
保護者から撮影を控えてほしいという申し出があると、行事の撮影を見送るべきか迷われるかもしれません。児童生徒の顔が判別できる写真や動画は、名前が添えられていなくても個人情報にあたりますので、学校として配慮が要ることは確かです。
ただ、撮影そのものをあきらめる必要はありません。スクールメモリーでは、撮影を控えてほしい児童生徒がいる行事もお受けしています。
撮影は通常どおり行ったうえで、その児童生徒の顔には編集の段階でモザイクをかけます。そのため、当日に学校側で特別な段取りをしていただく必要もありません。
行事の前でしたら、お知らせいただく時期に決まりはありません。お見積もりのご相談の段階でうかがうこともあれば、行事の直前にご連絡をいただくこともありますが、どちらでも対応できます。
2.当日、先生に特別な段取りは要りません

当日に、次のような準備をしていただく必要はありません。
- 座席を組み替える。
- その児童生徒だけ列から外す。
- 立ち位置を指定する。
- リハーサルで並びを調整する。
行事の進行を変えていただく必要もありません。当日は、いつもどおりの行事を進めていただければ大丈夫です。
三田
(収録担当)
当日、この件で撮影に入る担当者に特別な指示を出すことはありません。いつもの行事と同じように、いただいた進行表のとおりに撮っています。
ここまでは先生に安心していただける話ですが、正直にお伝えしておきたいこともあります。編集でできるのはモザイクをかけることだけで、その児童生徒が映っている場面を無くすことはできません。ここを取り違えたまま進むと、映像をお渡ししたあとで話が食い違いますので、「編集でできること、できないこと」の章でくわしくお伝えします。
3.編集でできること、できないこと
編集でできるのは、顔にモザイクをかけて誰か分からない状態にすることだけです。
次のことはできません。
- その児童生徒が映っている場面を丸ごとカットする。
- 別の映像に差し替える。
- 最初から映っていないことにする。
- 顔を隠すことで、歌声や名前を読み上げる声まで分からなくする。
つまり、お渡しする映像は「その児童生徒が映っていない映像」ではなく、「その児童生徒の顔が分からない映像」になります。同じことのように聞こえるかもしれませんが、ここを伝えないまま保護者にご説明いただくと、映像をお渡ししたあとで話が食い違います。
顔にモザイクをかけても、音はそのまま残りますので、ここも先に知っておいていただきたいところです。合唱では歌声が入りますし、司会がお名前を読み上げる場面があれば、その音も残ります。お名前が読み上げられていれば、顔を隠しても誰かは分かってしまいます。
写真と動画の違いも、あわせて知っておいていただけると話が早くなります。写真であれば、顔が写っていない1枚を選んで載せるという逃げ道があります。ところが行事の映像は始まりから終わりまで途切れずに続きますので、写っていない場面だけを選んでお渡しする、という考え方が成り立ちません。
かけ忘れや相手の取り違えがないかは、学校側で複製の前に確かめていただけます。スクールメモリーでは、枚数ぶんを複製する前に確認用の映像を担当の先生にお送りしており、その映像にはすでにモザイクが入っています。気になるところがあれば、その段階でお知らせください。
モザイクをかける対象が増えると作業量が変わりますので、人数が多い場合は進め方をあらかじめ相談させていただきます。実際の人数が分かった段階でお知らせいただければ、そこから一緒に決めていきます。
三田
(収録担当)
お名前とお顔を先にいただけると、編集の段階でどの児童生徒かを映像の中から探さずに済みます。人数が多いほど、この差は大きくなります。
撮影からお届けまで、どこで何をするか
撮影を控えてほしい児童生徒がいる場合の、スクールメモリーの進め方です。
行事の当日 ─ いつもどおり撮ります
▼
編集 ─ 顔にモザイクをかけます
▼
確認 ─ 複製の前に、モザイクの入った映像を先生に見ていただきます
▼
お届け ─ 顔が分からない映像になります
お渡しするのは「その児童生徒が映っていない映像」ではなく、「学校で決めた範囲で顔にモザイクをかけた映像」です。
保護者にはどうお伝えすればよいですか?
何と言うかは、学校ごとに事情が違いますので一つには決まりません。ただ、お伝えしておきたい中身は決まっていますので、たとえば次のようにお伝えする言い方があります。
- 行事の全体を記録しますので、お子さんが画面に入る場面はどうしても出てきます。
- お渡しするディスクでは、お子さんの顔にモザイクをかけます。どの場面までかけるかは、ご希望をうかがったうえで学校で決めてお伝えします。
- ただし、歌声や司会の声などの音はそのまま残ります。
- 複製の前に、学校でモザイクの入った映像を確かめます。ご心配な点やご希望は、行事の前にお知らせください。
- お名前とお写真は業者にお預けしますが、お届けが終わった時点で消してもらいます。
言い方はこのままでなくてかまいませんが、撮影は通常どおり行うこと、顔は分からなくなること、音は残ることの3つは外せません。あわせて、複製の前に学校で確かめられることと、預けた情報がお届けのあとに消えることも伝えておくと、あとから話が食い違いにくくなります。
4.業者に頼むとき、事前に伝えておくこと

行事の映像を配るときには、音楽の著作権の手続きも必要になります。手続きの中身は学校行事のDVDと著作権の記事にまとめました。
その手続きとは別に、撮影を控えてほしい児童生徒がいる場合には、学校から伝えておいていただきたいことがあります。対象の児童生徒の名前と、学校で管理している顔写真の2つです。
編集する側は児童生徒の顔を知らないため、名前だけでは映像の中のどの児童生徒か分かりません。顔写真をあわせていただくことで、モザイクをかける相手を取り違えずに済みます。
伝えていただく時期は、人数が決まってからでかまいません。お見積もりのご相談の時点では、対象の児童生徒がいるかもしれない、という段階でも大丈夫です。
お預かりした名前と顔写真は、お届けが終わった時点で消しています。撮影した映像のデータは別で、作り直しのご依頼に備えて撮影が終わってから1年間だけ保管し、1年を過ぎたら消しています。保管する期間が違いますので、校内でご説明いただくときは分けてお伝えください。
なお、学校が持っている情報を外部に渡すことになりますので、校内でどのような手続きが必要かは学校や自治体の決まりによって変わります。学校の決まりに沿ってご判断ください。
業者を決めるときに確認しておきたい項目は、学校行事の撮影業者の選び方の記事にまとめています。対象の児童生徒への対応も、その項目の1つです。
5.保護者が個人的に撮る映像は、別の話です
ここまでは、学校が業者に頼んで撮る映像の話でした。保護者がご自分のカメラやスマートフォンで撮る映像については、学校と保護者の間で決めることになります。
行事で撮ること自体と、撮ったものをネットに上げることを分けて考えている学校があります。そうした学校のひとつは、行事の様子を撮ること自体ではなく、動画サイトやSNSへ上げることについて望ましくないと呼びかけています。撮影された本人の許可、小さい子であればその保護者の許可がないまま上げると、個人としての利用の範囲を超える可能性がある、というのがその理由です。
ネットに上げることを厳禁と書いている学校もあり、書き方には幅があります。
撮影を控えてほしいという申し出をいただいたときも、業者が撮る映像でできることと、保護者が個人で撮る映像をどうするかは、別々に考えていただくことになります。
6.学校行事の撮影と個人情報についてよくある質問
学校の先生からよくいただくご相談と、よく調べられている質問を8問にまとめました。撮影を引き受けてもらえるか、人数、仕上がりの見え方、編集でできること、音、申し出をいただく時期、業者への情報の渡し方、モザイクの範囲について取り上げます。
撮影を控えてほしい児童生徒がいると、撮影自体を断られませんか?
いいえ、スクールメモリーでは撮影をお受けしています。撮影は通常どおり行い、その児童生徒の顔には編集の段階でモザイクをかけます。
何人までなら対応できますか?
対象が増えると作業量が変わりますので、人数が多い場合は進め方をあらかじめ相談させていただきます。実際の人数が分かった段階でお知らせください。
モザイクをかけると、映像は不自然になりませんか?
モザイクをかけた部分は、ほかの児童生徒とは見え方が変わります。ただ、場面そのものは残りますので、行事の流れは通常どおりご覧いただけます。
その児童生徒が映っている場面をカットしてもらえませんか?
スクールメモリーで行っているのは、顔にモザイクをかける対応だけです。場面のカットや、別の映像への差し替えは行っていません。行事の映像は途切れずに続きますので、仕上がりはその児童生徒の顔が分からない映像になります。ただし、歌声などの音はそのまま残ります。
顔にモザイクをかければ、誰か分からなくなりますか?
顔は分からなくなりますが、音はそのまま残ります。合唱では歌声が入りますし、司会がお名前を読み上げる場面があれば、その音も残ります。お名前が読み上げられていれば、顔を隠しても誰かは分かってしまいます。保護者にご説明いただくときは、ここも先にお伝えください。
年度の途中で「やっぱり撮影を控えてほしい」と言われたらどうなりますか?
行事の前にお知らせいただければ、その児童生徒も含めて編集で対応します。行事が終わったあとにお申し出があった場合も、まずはご相談ください。
撮影を控えてほしい児童生徒の名前を業者に伝えても問題ありませんか?
学校が持っている情報を外部に渡すことになりますので、校内でどのような手続きが必要かは、学校や自治体の決まりによって変わります。学校の決まりに沿ってご判断ください。スクールメモリーがお預かりした名前と顔写真は、モザイクをかける相手を特定するために使い、お届けが終わった時点で消しています。
顔が小さく写っている集合の場面も、モザイクが必要ですか?
どこまでを対象にするかは、保護者の申し出の内容と学校の判断で決まります。顔がはっきり分かるアップの場面だけでよいのか、小さく写っている全体の場面まで含めるのかで、モザイクをかける範囲が変わります。学校でどこまでとするかが決まりましたら、お知らせください。決まっていない段階でも、ご相談いただければ一緒に整理します。
7.まとめ|できるのはモザイクだけ。音が残ることも先にお伝えする
撮影を控えてほしい児童生徒がいても、行事の記録は残せます。スクールメモリーでは撮影を通常どおり行い、その児童生徒の顔には編集の段階でモザイクをかけますので、当日の段取りを変えていただく必要はありません。
そのかわり、編集でできることには限りがあります。できあがるのは、その児童生徒が映っていない映像ではなく、顔が分からない映像です。場面を丸ごとカットしたり、別の映像に差し替えたりはできませんし、顔にモザイクをかけても、歌声や司会の声などの音はそのまま残ります。保護者にご説明いただくときは、この点を先にお伝えいただけると、あとから話が食い違いにくくなります。
先生に最初にしていただきたいことは1つです。申し出をくださった保護者に、顔にはモザイクをかけること、そのうえで歌声などの音は残ることを、行事の前にお伝えください。
撮影を控えてほしい児童生徒の人数が決まっていなくても、お見積もりのご相談はお受けできます。気になる点は、その段階でご相談ください。
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