演奏会プログラムの作り方|初めてでも迷わない7ステップと本番逆算スケジュール

演奏会の担当を初めて任された方から、いちばんよくいただくのが「プログラムは、何から手を付ければいいのでしょうか」というご相談です。載せる項目、判型、ページ数、印刷の発注、当日の配布と、やることが多く、どこから動けばよいのかが見えにくい仕事です。
この記事では、演奏会プログラムづくりを7つのステップに分け、初めての担当者でもそのまま追っていける手順にまとめました。本番3か月前から当日の配布までの全体像と、各ステップで決めること、集めるもの、よくある失敗を順番に説明します。ピアノリサイタルのような個人の主催から、吹奏楽部や合唱団の定期演奏会まで、どの規模でも使える段取りです。
この記事の要点
- 作り方は「計画→内容決定→判型・ページ数→原稿収集→レイアウト→校正→印刷」の7ステップで進める
- 動き出すのは本番2〜3か月前が目安。規模が大きいほど早めに取りかかる
- 校了(最終確認が終わり印刷に回せる状態)は本番10日前に置くと、リハーサルでの曲順変更や奏者交代にも対応できる
- 校正は原稿校正/レイアウト校正/音楽固有校正の3段階に分けると見落としが減る
- 部数は「客席数×1.1〜1.2+関係者配布」で計算し、印刷の最小ロットに合わせて発注する
- 中綴じ冊子のページ数は4の倍数(4・8・12・16・20)しか選べない。24ページ以上になる大規模冊子は無線綴じ(背表紙つき)で2ページ単位の調整も可能
演奏会プログラムの作り方|全体の流れ
演奏会プログラムの制作は、時系列で見ると7つのステップに分かれます。どのステップも、その前の段階で決まったことの上に積み重ねていく順番になっています。
作り方は7ステップ
演奏会プログラム 作り方の7ステップ
計画を立てる
本番3か月前。コンセプト・予算・規模を決める
載せる内容を決める
本番2.5か月前。項目のチェックリストを作る
判型とページ数を決める
本番2.5か月前。冊子の大きさとページ数を確定する
原稿と素材を集める
本番2〜1.5か月前。プロフィール・曲目解説・写真・広告
レイアウトを作る
本番1.5〜1か月前。自作か外注かを選んでデザインに入る
3段階で校正する
本番3〜2週間前。原稿 → レイアウト → 音楽固有の順に見る
印刷発注と当日配布
本番10日前〜当日。入稿・お届け・会場での配布
上から順番に進めることが大切です。たとえばページ数が決まる前に原稿を集めてしまうと、字数が合わず、あとから削る作業が発生します。遠回りに見えても、順番を守るほうが結果として早く仕上がります。
いつ動き出すか
目安は本番の2〜3か月前です。ページ数が少ない小さなリサイタル(4〜8ページ)なら2か月前から、12ページ以上の定期演奏会なら3か月前から動き出します。協賛広告を集める場合は、お願いして回る時間を見て、さらに1か月早い本番4か月前を出発点にしてください。
「もっと早くから動けるのでは」と思う方もいらっしゃるかもしれません。ただ、演奏する曲目が確定しないと原稿は書けませんので、曲目が決まった時点が実質的なスタートになります。曲目が固まる前に動き始めても、差し替えが何度も起きるだけです。
初めての担当者が最初に覚える3つの原則
- ページ数は4の倍数で考える(中綴じ冊子の物理的な決まり)
- 校了は本番10日前に置く(それ以降の修正は印刷に間に合わない)
- 原稿の締切は入稿日より2週間前に設定する(集めるのに時間がかかる)
この3つを最初に頭に入れておくと、スケジュールづくりで大きく外すことがなくなります。細かい決まりは各ステップで説明しますので、いまは「4の倍数・校了10日前・原稿は2週間前倒し」だけ覚えておいてください。
ステップ1|計画を立てる(本番3か月前)
最初のステップは、プログラムの全体像を決めることです。ここを飛ばして原稿集めに入ると、途中で方針がぶれて作り直しになります。
この段階で決めるのは3つだけ
| 決めること | 決め方の目安 |
|---|---|
| コンセプト | 演奏会のテーマ・雰囲気・来場してほしい人を一文にする |
| 予算 | 印刷代+デザイン代+広告収入差引で想定額を決める |
| 規模(部数・ページ数のおおよそ) | 会場の客席数+関係者配布+予備でおおよその部数を決める |
コンセプトは、チラシやポスターと同じ一文でそろえます。「吹奏楽部第50回定期演奏会・次の50年の始まり」のように、タイトルや副題に使える短い言葉にしておくと、デザインの段階で軸がぶれません。
予算は、プログラム単独ではなく「演奏会全体の予算のうちプログラムに使える金額」として考えます。12ページの中綴じを300部外注する場合で8万〜15万円、4ページの二つ折り100部を自作してネット印刷に出す場合で1万〜2万円が目安です。
規模は、この段階ではおおまかで構いません。「定期演奏会で400席のホール、部員40人、協賛広告あり、12ページの想定」くらいで大丈夫です。正式なページ数は次のステップで確定します。
チラシ・ポスターと世界観を揃える
プログラムは、チラシやポスターと同じく、その演奏会の印刷物の一組です。表紙のデザイン・色・書体をチラシとそろえておくと、会場に入ったお客様が「あのチラシの演奏会だ」とすぐに分かります。
チラシとプログラムを別々のデザイナーに頼むと、雰囲気がばらつきやすくなります。1人か1社にまとめて頼むほうが、結果として統一感のある仕上がりになります。すでにチラシができている場合は、そのデザインデータを用意しておくと、プログラム制作への引き継ぎがスムーズです。
よくある失敗|予算を最後に決めて足りなくなる
初めての担当者がいちばん多く出会うのは、予算を最後に決めて途中で足りなくなる失敗です。原稿を集めてデザインを進めたあとで印刷の見積もりを取り、そこで初めて予算オーバーに気づきます。
- 演奏会全体の予算のうち、プログラムに割ける金額を先に確かめる
- 協賛広告の収入の見込みがあれば、その金額を足す
- そこから予備費(1割)を取り分け、残りを「印刷代+デザイン代」の上限にする
- 上限の中で「何ページを何部まで刷れるか」を、印刷会社の料金表で確かめる
印刷会社のサイトには、部数とページ数ごとの料金表が載っています。計画の段階で2〜3社の見積もりを取っておくと、上限の感覚がつかめます。
ステップ2|載せる内容を決める(本番2.5か月前)
全体像が決まったら、プログラムに何を載せるかを決めます。ここが決まらないと、次の「ページ数」も、その次の「原稿の依頼」も動けません。
すべての演奏会に共通する9項目
| 項目 | 役割 | 文字量の目安 |
|---|---|---|
| 公演の基本情報 | タイトル・日時・会場・主催団体 | 表紙に集約 |
| ごあいさつ | 来場への感謝・公演への想い | 300〜400字 |
| 曲目リスト | 演奏順・作曲者・曲名・楽章・演奏時間 | リスト形式 |
| 曲目解説 | 聴きどころ・時代背景・エピソード | 1曲300〜500字 |
| 出演者紹介 | 経歴・受賞歴・活動・写真 | 1人120〜200字 |
| 団体紹介 | 主催団体の活動・沿革 | 300〜500字 |
| 協賛・広告 | 応援してくれた企業・個人への謝辞 | 広告ページとして独立 |
| 次回公演のご案内 | 次の予定の告知 | 100〜200字 |
| 問い合わせ先 | 主催者の連絡先・SNS | 裏表紙に集約 |
この9項目がプログラムの背骨です。編成や規模にかかわらず、まずこの9つが抜けていないかを確かめます。
編成によって増える項目
- 作品番号(Op.・K.・BWV・D.など)
- 作曲者の生没年
- 調性(ハ長調・ニ短調など)
- 原題(独・伊・仏など)と日本語題の併記
- 楽章構成(I. Allegro/II. Adagio など)
- オーケストラの場合は楽員名簿(パート別)
- 部員紹介(学年・パート・代表者)
- 定期演奏会の歴史(第◯回の年表)
- 課題曲・自由曲の解説
- 3年生の引退メッセージ(部活ならではの定番)
- 協賛広告ページ(地元商店・卒業生の勤務先)
- 歌詞全文(訳詞を含む)
- 混声/男声/女声・声部編成
- 指揮者・伴奏者(ピアニスト)の独立紹介ページ
- 団体の歴史・活動実績(地方合唱団では特に厚くなる)
合唱の場合は歌詞の掲載がほぼ必須になりますので、ほかの編成よりページ数が自然と増えます。計画の段階で「歌詞があるので16ページになる」と見込んでおくと、予算の設計がずれません。
- 奏者の大きなポートレート写真(1枚以上)
- 演奏家としての活動テーマ(プログラム全体を貫く1行)
- 曲ごとに「この曲を選んだ理由」を語るアーティスト自身の言葉
- 演奏会の世界観を伝える配色・書体(チラシと完全に揃える)
個人のリサイタルは、「奏者の世界観を伝える場」という意味合いが強くなります。情報を詰め込むより、奏者のポートレートと選曲の理由をやわらかく伝えるデザインのほうが向いています。A5の4ページや8ページの小さな冊子でも十分に成り立ちます。
著作権処理で注意するポイント
歌詞や編曲の情報を載せるには、著作権の手続きが必要な場合があります。プログラムづくりで見落としがちな3点を押さえておきます。
- 演奏利用: JASRACなどの管理団体に演奏許諾を申請しているか(プログラムへの記載は任意だが、許諾番号を載せる団体もある)
- 歌詞掲載: 管理曲の歌詞をプログラムに印刷する場合、演奏許諾とは別に「複製」の許諾が必要になることがある。訳詞も同様
- 編曲表記: 編曲者・訳詞者の名前は必ず記載する。無断の編曲は著作権侵害になるため、既成曲のアレンジは事前に編曲許諾を取る
これらの手続きは、演奏会本体の企画の段階で主催団体が済ませるのが一般的です。プログラムの担当者は、曲目リストに編曲者・訳詞者の欄を用意し、主催者から情報をもらえるようにしておきます。
載せるか迷う項目の判断基準
迷いやすい項目(次回公演の告知・QRコード・アンケート欄・会場でのマナーの注意書き・著作権の表記)は、次の3つの問いで判断します。
- お客様の観覧体験に役立つか(例: 会場マナーは役立つ → 載せる)
- 次の行動につながるか(例: 次回公演告知とSNSのQRは次回集客になる → 載せる)
- ページ数を1段階増やしてでも載せる価値があるか(例: アンケート欄は4ページ分のスペース必要 → 予算と相談)
「迷ったら載せる」ではなく、紙面を使う価値があるかどうかで判断するのがコツです。

ステップ3|判型とページ数を決める(本番2.5か月前)
載せる項目が決まったら、冊子の大きさ(判型)とページ数を確定します。ここで決めた仕様を印刷会社に伝えて見積もりを取り、発注の準備に入ります。
判型はA5・B5・A4の3択
| 判型 | 仕上がり寸法 | 向いている演奏会 |
|---|---|---|
| A5 | 148×210mm | 発表会、個人リサイタル、小編成の室内楽 |
| B5 | 182×257mm | 学校の定期演奏会、吹奏楽部、合唱団 |
| A4 | 210×297mm | 大編成、広告が多い冊子、写真を大きく見せたい冊子 |
A5は持ち帰りやすく、発表会の記念品として場所を取りません。B5は学校の現場になじみがあり、部員紹介のような情報量にも向きます。A4は写真や協賛広告を大きく見せられますが、バッグに収まりにくく、印刷代も上がります。
判型を決めるときは、お客様が帰りに持ち帰る場面を思い浮かべてください。リサイタルのお客様がA4の冊子を丸めて持ち帰るのは少し大げさですし、B5の冊子ならトートバッグに入ります。
ページ数は4の倍数が鉄則
中綴じ冊子は、ページ数が4の倍数でしか作れません。これは印刷会社の都合ではなく、物理的な決まりです。
印刷では、1枚の大きな紙に4ページ分を配置し、半分に折って重ね、中央を針金で留めます。つまり紙1枚が4ページで、これを1枚、2枚、3枚と重ねていきますので、ページ数は必ず4・8・12・16・20と増えていきます。
ただし、24ページを超える厚めの冊子では、無線綴じ(背表紙に糊を塗って綴じる方法)が選べます。無線綴じなら2ページ単位で増やしたり減らしたりできますので、22ページや26ページも作れます。周年記念の演奏会や、記念誌を兼ねる冊子でよく使われます。
- OK: 4/8/12/16/20/24/28
- NG: 6/10/14/18(4の倍数ではないため中綴じでは作れない。6ページは三つ折りなら可)
「どうしても10ページ分の情報量が要る」という場合は、8ページに削るか、12ページに増やすかの2択になります。8ページに削るなら、曲目解説を短くする、奏者紹介の行数をそろえる、広告ページを別刷りにするといった工夫で対応します。12ページに増やすなら、広告ページを増やすか、次回公演の告知や団体の歴史のコラムを加えます。
部数の計算式
部数は、次の式で計算します。
必要部数 = 客席数 × 1.1〜1.2 + 関係者配布分 + 予備
- 来場予定人数(目標動員数)
- 当日受付の予備(動員の5〜10%)
- 出演者・スタッフ配布(全員分)
- 協賛してくれた企業・個人への送付(1社1〜3部)
- 記録保存(主催団体3部、会場1部、デザイン会社1部)
100席の会場なら120部、300席なら350部が目安です。中綴じ冊子は100部刻みの料金表を使う印刷会社が多いので、計算で120部と出たら、実際の発注は200部になります。200部にすると80部余りますが、その分は予備と記録用に回す前提で、最初から200部で考えておきます。オンデマンド印刷なら、25部や50部単位の小さな発注ができる会社もあります。
部数を1段階増やすと、1部あたりの単価は下がる傾向があります。「足りなくなって慌てて追加注文する」より「少し多めに刷って余らせる」ほうが、合計では安く済むことが多いです。
ステップ4|原稿と素材を集める(本番2〜1.5か月前)
仕様が決まったら、ここからが山場です。原稿と写真を集める工程は、制作全体のなかでいちばん時間と根気の要る段階です。
誰に何を依頼するかの一覧表
| 素材 | 依頼する相手 | 目安日数 |
|---|---|---|
| ごあいさつ文 | 主催団体の代表 | 1週間 |
| 曲目解説 | 指揮者・奏者・音楽ライター | 2週間 |
| 出演者プロフィール | 出演者本人 | 2週間 |
| 出演者写真 | 出演者本人(撮り下ろし or 手持ち) | 1〜2週間 |
| 団体紹介 | 主催団体の事務局 | 1週間 |
| 指揮者プロフィール | 指揮者本人 or 事務所 | 1〜2週間 |
| 協賛広告原稿 | 協賛企業・個人 | 2〜3週間 |
| 会場マップ・アクセス情報 | 主催団体で作成 | 3日 |
一覧表を先に作ると、誰がいつまでに何を出すかが見えるようになります。この表を原稿依頼のメールにそのまま貼れば、依頼の抜けや漏れが減ります。
奏者への写真・プロフィール依頼ひな型
写真とプロフィールは、依頼のしかたで戻ってくる速さがまったく違います。次の5点を必ず書いて依頼すると、頼み直しのやり取りが減ります。
- 解像度: 横1500px以上、原寸300dpi相当
- 形式: JPEG または TIFF
- 送信方法: ギガファイル便/Google Drive/AirDrop(LINEは自動圧縮で画質が落ちる・メール添付もサービスによってはサイズ制限で縮小されるため避ける)
- 構図: 縦向き(3:4または2:3)、胸から上または腰から上
- 背景: 無地の壁か、写真スタジオで撮影したもの
- 字数: 1人120〜200字で揃える(受賞歴が多い人も絞る)
- 書き出し: 「○○出身。△△を経て、現在□□」の型で統一
- 三人称で書く(「私は」ではなく「○○は」で始める)
- 西暦の書き方を統一(2024年/令和6年を混ぜない)
「自由な長さでお願いします」と頼むと、300字の人と600字の人が混ざってしまい、あとでデザイナーが調整に苦しみます。字数の上限を先に決めて伝えるのがコツです。
曲目解説は1曲300〜500字で十分
初めての担当者は、曲目解説の長さでつまずきがちです。「全曲きちんと解説しなくては」と思って、1曲2000字の大作を書いてしまう方がいらっしゃいます。
曲目解説は、演奏を聴きながら読む文章です。1曲300〜500字あれば、聴きどころ・作曲の背景・聴き方のヒントを十分に伝えられます。大曲(交響曲・協奏曲・オペラ)で800〜1500字、小品(アンコール・短い舞曲)で150〜300字が目安です。
- 作曲家について(生涯・作風・音楽史のなかの位置づけ)
- 作曲の背景(なぜ書かれたか、誰に献呈されたか、初演のエピソード)
- 曲について(形式・調性・編成・楽章構成)
- 聴きどころ(特徴的な旋律・ハーモニー・リズム・仕掛け)
4つの要素をすべて入れる必要はありません。聴き手が「これを知っていると面白い」と感じる情報を選びます。ほかの演奏会のプログラムノートや音楽事典からの丸写しは、絶対にやめてください。参考にするのは構いませんが、必ず自分の言葉で書き直します。
協賛広告原稿は「締切2週間前倒し」が鉄則
協賛広告の原稿だけは、ほかのページより締め切りを2週間前倒しにします。理由は2つあります。
- 原稿が遅れて戻ってくる(複数の協賛先を待つ必要がある)
- サイズ・解像度の不備が多い(修正のやり取りが発生する)
本番2か月前に協賛広告の原稿を締め切れば、2週間を組版と校正に使えて、余裕が生まれます。
協賛広告の料金の相場は、次のとおりです。
| 広告枠 | 中規模演奏会(300〜500部) | 大学吹奏楽部・大規模(1,000部以上) |
|---|---|---|
| 1/8枠(名刺大) | 1,000〜3,000円 | 3,000〜5,000円 |
| 1/4枠 | 2,500〜5,000円 | 5,000〜12,500円 |
| 1/2枠 | 5,000〜10,000円 | 10,000〜25,000円 |
| 1ページ | 10,000円〜 | 20,000〜50,000円 |
1/8枠(名刺大)の1,000〜3,000円の帯が、地元の商店にいちばん声をかけやすい価格帯です。部数や団体の規模に合わせてこの幅の中で金額を決め、そこを主力に階段状の料金表を作ります。

三浦
(プランナー)
原稿の回収で本当によく起きるのは、最後の1人がなかなか出してくれないことです。とくに指揮者・ソリスト・顧問の先生など、立場が上の方ほど遅れがちです。そういうときは、ほかの原稿がそろった段階で「いまの仮組みです」とPDFを添えてお願いすると、ご自分の分だけ空白なのが目で見て分かりますので、動いてくださる確率が上がります。文字だけで催促するより効きます。
ステップ5|レイアウトを作る(本番1.5〜1か月前)
原稿がそろったら、いよいよレイアウトに入ります。自作するか外注するかで、この段階の進め方は大きく変わります。
ツール選びの4つの判断軸
| 判断の軸 | 無料ツール(Word/Canva) | プロに外注 |
|---|---|---|
| 予算 | 0〜1万円 | 数万円〜数十万円 |
| ページ数 | 4〜8ページ | 12ページ以上 |
| 部数 | 50〜100部 | 300部以上 |
| 仕上がり | シンプルで良い | 演奏会の世界観を反映したい |
上の表で右側に当てはまる軸が多いほど、プロへの外注が向いています。12ページ以上・300部以上・協賛広告ありのうち、当てはまる項目が多いほど、自作は時間の負担で割に合わなくなります。
ツール別の向き不向き
予算と、めざす仕上がりで4つに分かれます。
Microsoft Word
費用: 0円
4ページの二つ折りなら十分。段組み機能で3段組プログラムが作れます。商業印刷には不向きです。
Canva
費用: 無料〜有料プラン
8ページまでならひな型が豊富で使いやすい。CMYK書き出しは有料プラン限定。
Adobe Illustrator/InDesign
費用: 月額費用がかかる
プロ仕様。12ページ以上の冊子・協賛広告ありなら第一選択。ただし操作を覚える手間がかかります。
プロに外注
費用: 数万円〜数十万円
時間と仕上がりをお金で買えます。12ページ以上・300部以上なら外注のほうが結果的に安い場合が多いです。
自作する場合の基本ルール
自作して商業印刷に出す場合、次の4つの設定を守らないと印刷で失敗します。
- カラーモード: CMYK(印刷で使う色の方式。画面表示のRGBのまま入稿すると色がずれる)
- 解像度: 原寸300〜350dpi(「dpi」は画像の細かさの単位。ウェブ用72dpiの画像はそのままでは印刷できない)
- 塗り足し: 仕上がりサイズの外側に3mm(断裁のズレで白いフチが出るのを防ぐ余白)。A5(148×210mm)なら154×216mmでデータを作る
- フォント: アウトライン化(文字を図形に変換して他のパソコンでも同じ見た目にする処理)するか、PDF/X形式で保存
Canvaの無料版でも塗り足しつきのPDFは書き出せますが、CMYKへの変換は有料プランだけの機能で、無料版のRGBのデータは印刷会社で自動変換されるときに色がわずかにずれます。Wordは塗り足しもCMYKも扱えません。家庭用プリンタで十分と考える小さな発表会を除き、色の再現や印刷の品質にこだわるなら、Canvaの有料プラン、IllustratorかInDesign、またはプロへの外注のどれかになります。
外注する場合の依頼の流れ
外注の流れは、おおむね次のようになります。
- 見積もり依頼(仕様を伝えて金額を確認)
- 正式発注(契約書 or 発注書の取り交わし)
- 資料の引き渡し(チラシデータ・原稿一式・写真素材)
- 初稿の確認(1週間〜10日後)
- 修正指示の戻し(2〜3回)
- 校了(最終確認)
- 入稿・印刷・お届け
初稿が出てくるまでの日数は、原稿を渡してから1週間〜10日が相場です。修正は1回あたり2〜3日の戻りの時間がかかると見込んでおくと、スケジュールが組みやすくなります。
コンサートデザインでもプログラムの制作を承っています。お見積もりは無料で、公演日・会場・編成・ご希望のページ数の4点をお知らせいただければ概算をお返しします → お問い合わせはこちら
ステップ6|3段階で校正する(本番3〜2週間前)
レイアウトの初稿が上がってきたら、校正に入ります。初めての担当者は、この校正の工程でもっとも失敗しやすいです。
一度に全部見ると必ず見落とす
校正の鉄則は、「一度にいろいろな観点で見ない」ことです。誤字も、レイアウトも、作品番号も、同時に見ようとすると必ず見落とします。
そこで、校正を3段階に分けます。各段階で1つの観点だけに集中すると、見落としが大きく減ります。
一度に全部見ない 3段階の校正
原稿校正
文字の正しさを見る
レイアウト校正
デザイン面の仕上がりを見る
音楽固有校正
音楽ならではの項目を見る
1回目|原稿校正(誤字脱字・事実確認)
最初の校正では、文字そのものを確かめます。
- 奏者名・作曲者名の漢字・つづり
- 肩書き(プロ/アマチュア、学年、役職)
- 日時・会場・主催団体名
- プロフィール内の数字(受賞年・活動年数)
- 電話番号・住所・メールアドレス
- SNSアカウント名・URL
奏者名の漢字の間違いは致命的です。「齋藤」と「斉藤」「斎藤」、「渡辺」と「渡邊」「渡邉」の違いは、本人に確かめないと区別できません。疑わしい名前は、1人ずつ本人にメールで確かめます。
2回目|レイアウト校正(整列・行間・余白)
文字が正しいことを確かめたら、次はレイアウトの見た目を確かめます。
- 見出し・本文の文字サイズが揃っているか
- 行間・余白が広すぎず詰まりすぎず
- 写真の大きさ・位置が統一されているか
- ページ番号・柱(各ページの上下にある小さな見出し)の位置
- 塗り足し(仕上がり位置の外側3mm)が確保されているか
このチェックは、紙にプリントして行います。画面では問題なく見えても、紙で見ると「写真の大きさが1人だけ違う」「ページ番号が欠けている」といった違和感が見つかります。
3回目|音楽固有校正(作品番号・生没年・楽章表記)
最後に、音楽ならではのチェックを行います。ここは一般の校正者では見落としやすいところですので、1つの項目ずつ集中して見るのがコツです。
- 作品番号: 作曲家ごとに決まった略号(Op.・K./KV・BWV・D.・Hob.・HWV・RV・TWV・WoO など)が正しく使われているか
- 作曲者の生没年: 1770–1827 のような併記が全曲で揃っているか
- 調性: ハ長調/C major のような表記を全曲で統一しているか
- 楽章番号: I/II/III のローマ数字が大文字で統一されているか
- 原題と日本語題の併記: 一部の曲だけ原題が欠けていないか
- 楽章のテンポ表記: Allegro・Adagio などのイタリック指定が揃っているか
- 合唱の場合: 歌詞のルビ、外国語詞の原語綴り、作詞者・訳詞者のクレジット
この段階では、たとえば「全曲の作品番号だけを見る」「全曲の生没年だけを見る」というように、項目を1つずつ潰していくと、見落としが大きく減ります。
校了は本番10日前に置く
校了(最終確認が終わって印刷に回せる状態)は、本番10日前に置きます。
印刷会社の標準の納期は、B5の中綴じ12ページ300部で、入稿からお届けまで5〜7営業日が目安です。特急プランなら3〜4営業日で出荷される場合もありますが、割高になります。本番の前日や前々日のお届けは、トラブルが起きたときに立て直す余裕がありませんので避けます。
- 校了(本番10日前)
- 入稿(本番10日前〜9日前)
- 印刷・製本(本番8日前〜5日前)
- お届け(本番5日前〜3日前)
- 会場への運び込み(本番前日)
リハーサルのあとの曲順の変更、奏者の急な交代、タイトルの微調整は、本番の1〜2週間前に起きがちです。校了を10日前に置いておけば、こうした変更を吸収できる余裕が生まれます。「早めの校了」は手抜きではなく、本番を落ち着いて迎えるための保険だと考えてください。

三浦
(プランナー)
校正のやり取りをメールで行うのはおすすめしません。10往復もすると、どの修正が反映されたのかを追えなくなります。PDFに直接赤字を入れて戻してもらうか、修正箇所を番号つきの一覧にしてもらうと、抜けや漏れが激減します。紙にプリントして赤ペンで書き込んだものを写真で送ってもらうやり方が、いちばん簡単で確実です。
ステップ7|印刷発注と当日配布(本番10日前〜当日)
最後のステップは、印刷会社への発注から当日の配布までの流れです。
入稿の直前チェック6項目
校了したデータを印刷会社に送る前に、次の6点を最後に確かめます。
- ファイル形式が印刷会社の指定(PDF/X-1a など)に合っているか
- カラーモードがCMYKになっているか
- 解像度が原寸300dpi以上あるか
- 塗り足しが3mm確保されているか
- ページ数が4の倍数になっているか
- 白紙ページにも「白紙のページ」としてデータが入っているか(空データではなく真っ白な1ページ)
6番目は意外と見落としがちです。白紙のページをファイルから省くと、印刷会社で「ページが足りない」と判断されて納期が遅れます。
お届け後にやる3つのこと
冊子が手元に届いたら、本番までに次の3つを行います。
- 検品: 指定した部数があるか、乱丁(ページの順序違い)・落丁(ページ抜け)・汚れがないかを、何冊か抜き取って確かめる
- 関係者への発送: 協賛してくれた企業・個人に1〜3部ずつ郵送
- 配布係との事前打ち合わせ: 当日受付の配置・人数・配布の流れを共有
関係者には、本番の前に届けると「応援したかいがあった」と感じてもらえます。本番のあとでも構いませんが、お客様として来場された協賛者に当日手渡しできると丁寧です。
当日の配布の流れ
当日は、次の流れで配布します。
- 会場入りしたらすぐに冊子を運び込む(前日搬入ができる会場ならさらに楽)
- 受付に配布係2〜3人を配置(大きな演奏会なら5人以上)
- プログラムは入場時に手渡し(机の上に置くだけだと取り忘れが出る)
- 予備を舞台袖にも置く(出演者が手元で確認したいときに使う)
配布係が慣れていないと、受付が混み合うことがあります。開場の30分前には、リハーサルを兼ねて配布の流れを確かめておくと安心です。
本番逆算スケジュール早見表
ここまでの7ステップを1枚のスケジュールにまとめると、次のようになります。B5の中綴じ12ページ、協賛広告あり、印刷300部を前提にしています。
本番逆算スケジュール
規模の小さいリサイタル(4〜8ページ)なら、全体を2か月に縮められます。ただし、校了を本番10日前に置くことと、協賛の原稿はほかより2週間早く締め切ることの2点は、規模にかかわらず守ってください。
初めての担当者がつまずきやすい5つのポイント
7つのステップを順番に進めるなかで、初めての担当者がとくによく引っかかる場面をまとめます。前もって知っておくと避けやすくなります。
1. ページ数が4の倍数にならないまま進む
原稿を集め終わった段階で「組んでみたら10ページになった」と気づく場合です。計画の段階でページの配分を決めておけば避けられます。「1ページ目は表紙、2ページ目はごあいさつ、3〜4ページ目は奏者紹介」のように、1ページ単位の割り付け表を作ってから原稿の依頼に入ります。
2. 原稿催促が「お願い止まり」で戻ってこない
「何日までにお願いします」だけでは、忙しい方はなかなか動いてくれません。仮組みのPDFを添えて催促すると、相手は自分のページだけが空白なのが目に入り、優先順位を一気に上げてくれます。
3. 画面では読めても紙では読めない文字サイズ
画面では大きく見えても、印刷すると驚くほど小さく感じます。紙にプリントして、実際の会場に近い明るさで読むのが唯一の確かめ方です。本文は12pt以上、行間は文字の大きさの1.7倍以上を目安にしてください。
4. 曲順変更に対応できないほど遅い校了
リハーサルのあとの曲順の変更は、どの現場でも起きます。印刷には入稿からお届けまで5〜7営業日かかりますので、校了が遅いとこの変更を反映できません。前日入稿・当日印刷のような綱渡りは、絶対に避けてください。
5. 協賛原稿の入稿形式がバラバラで組版が進まない
「広告の原稿はWordでもJPEGでも構いません」と自由にすると、集まった原稿の大きさ・解像度・形式がばらばらになります。募集要項で入稿の形式を指定(PDF、または300dpi以上のJPEGで、A4換算の原寸)しておくと、組版のやり直しが減ります。
よくある質問
Q. 演奏会プログラムは本番何か月前から作りはじめればよいですか?
本番の2〜3か月前が目安です。4〜8ページの小さな冊子なら2か月前から、12ページ以上で協賛広告を集めるなら3〜4か月前から動き出します。曲目が確定した時点が実質的なスタートになりますので、曲目が決まったらすぐに取りかかるのが原則です。
Q. プログラムに最低限載せる項目は何ですか?
背骨になるのは9項目です。公演の基本情報、ごあいさつ、曲目リスト、曲目解説、出演者紹介、団体紹介、協賛・広告、次回公演のご案内、問い合わせ先です。編成によって、クラシックなら作品番号と生没年、吹奏楽なら部員紹介、合唱なら歌詞の全文などが加わります。
Q. 自作とプロ外注の分かれ目はどこですか?
目安はページ数12ページ前後です。4〜8ページで写真や広告が少なければ、CanvaやWordで自作できます。12ページ以上、協賛広告あり、300部以上のどれかに当てはまると、プロに外注するほうが時間・品質・合計の費用のバランスで有利になります。
Q. 判型はA4とA5のどちらが向いていますか?
持ち帰りやすさを優先するならA5(148×210mm)、情報量と写真の見せやすさを優先するならA4(210×297mm)です。学校の定期演奏会ではB5(182×257mm)もよく使われます。来場者がどうやって持ち帰るかを思い浮かべて選ぶのが、いちばん確実です。
Q. ページ数はどう決めればよいですか?
中綴じ冊子のページ数は、4の倍数(4・8・12・16・20)しか選べません。載せたい情報量から「10ページ必要」と出たら、8ページに削るか12ページに増やすかのどちらかを選びます。ソロのリサイタルは4〜8ページ、吹奏楽や合唱の定期演奏会は12〜20ページが目安です。
Q. 誤字や漢字ミスを防ぐにはどうすればよいですか?
校正を「原稿校正・レイアウト校正・音楽固有校正」の3段階に分け、一度にいろいろな観点で見ないことです。とくに奏者名の漢字(齋藤・斉藤・斎藤の違いなど)は、本人にメールで確かめます。画面ではなく、紙にプリントして見るのも基本です。
Q. 協賛広告は1枠いくらで募集するものですか?
中〜大規模の演奏会では、1/8枠(名刺大)で1,000〜3,000円、1/4枠で2,500〜12,500円、1/2枠で5,000〜25,000円、1ページで10,000〜50,000円が目安です。1/8枠の1,000〜3,000円の帯が、地元の商店にいちばん声をかけやすく、階段状の料金表を作るときの出発点にしやすい金額です。
コンサートデザインのプログラム制作
コンサートデザインでは、演奏会のプログラム・パンフレットの制作をお受けしています。年間200件以上の実績があり、ソロのリサイタル・吹奏楽・合唱・オーケストラなど、あらゆる編成に対応します。
商品仕様
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| サイズ | A4・B5・A5 |
| 印刷紙 | コート紙/マットコート紙 |
| 仕様 | フルカラー/白黒 |
| 製本 | 中綴じ(8・12・16・20P)/二つ折り(4P)/三つ折り(6P) |
| 印刷単位 | 100部単位 |
| 修正回数 | 無制限 |
※ コンサートデザインは当サイトの運営サービスです。
料金表(100部基準の早見表)
| ページ数 | 製本方法 | A5(100部) | B5(100部) | A4(100部) |
|---|---|---|---|---|
| 4P | 二つ折り | 33,800円 | 37,430円 | 38,350円 |
| 8P | 中綴じ | 77,810円 | 79,800円 | 81,520円 |
| 12P | 中綴じ | 106,130円 | 112,800円 | 115,500円 |
| 16P | 中綴じ | 133,940円 | 143,940円 | 141,570円 |
※ すべて税込、デザイン代・用紙代・印刷代・送料が含まれます
※ 200部〜2000部の詳細料金・モノクロ割引はプログラム制作ページでご確認いただけます。
ご予算や編成に合わせて最適な仕様をご提案します → お見積もりのお問い合わせはこちら
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コンサートデザインが提供していること
コンサートデザインは、クラシックや吹奏楽などの演奏会のチラシ・プログラム・チケットを専門に手がけ、年間200件以上の実績があります。初めての担当者の方にも、仕様の決定から印刷の入稿まで、手順を追ってご案内します。
お見積もりは無料です。公演日・会場・編成・ご希望のページ数の4点をお知らせいただければ、概算をお返しします。
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三浦
(プランナー)
「予算が決まっていないので、まず見積もりをください」というご相談を毎月のようにいただきます。ただ、ページ数・判型・部数・紙質が決まっていないと、見積もりの幅が10万円単位で広がってしまいます。計画の段階でおおまかで構いませんので、「400席のホール、12ページ、300部、フルカラー」まで決めてからお問い合わせいただくと、1日で概算をお返しできます。