演奏会プログラムの作り方|初めてでも迷わない7ステップと本番逆算スケジュール

演奏会の担当を初めて任された方から、もっともよくお聞きする相談は「プログラムって、何から手を付ければいいんでしょうか」というご質問です。載せる項目、判型、ページ数、印刷発注、当日の配布——やることが多く、どこから動けばいいのか見えにくい作業です。

この記事では、演奏会プログラムづくりを7つのステップに分けて、初めての担当者でもそのまま追っていける手順にまとめました。本番3か月前から当日配布までの全体像、各ステップで決めること・集めるもの・よくある失敗を順番に解説します。ピアノリサイタルのような個人主催から、吹奏楽部や合唱団の定期演奏会まで、どの規模でも使える段取りです。

この記事の要点

  • 作り方は「計画→内容決定→判型・ページ数→原稿収集→レイアウト→校正→印刷」の7ステップで進める
  • 動き出すのは本番2〜3か月前が目安。規模が大きいほど早めに取りかかる
  • 校了(最終確認が終わり印刷に回せる状態)は本番10日前に置くと、リハーサルでの曲順変更や奏者交代にも対応できる
  • 校正は一般校正/レイアウト校正/音楽固有校正の3段階に分けると見落としが減る
  • 部数は「客席数×1.1〜1.2+関係者配布」で計算し、印刷の最小ロットに合わせて発注する
  • 中綴じ冊子のページ数は4の倍数(4・8・12・16・20)しか選べない。24ページ以上になる大規模冊子は無線綴じ(背表紙つき)で2ページ単位の調整も可能

この記事を書いた人

コンサートデザイン

コンサートデザイン編集部

演奏会のチラシ・プログラム・チケットを年間200件以上手がけてきたコンサートデザインのスタッフです。クラシック・吹奏楽・リサイタルなど、現場を知る立場から役立つ情報をお届けします。

計画・内容決定・判型・原稿収集・レイアウト・校正・印刷の7ステップを横並びで示したフロー図
作り方を7ステップに分解したフロー図

演奏会プログラムの作り方 — 全体の流れ

演奏会プログラムの制作は、時系列で見ると7つのステップに分かれます。どのステップも、その前の段階で決まったことの上に積み重ねていく順番になっています。

作り方は7ステップ

演奏会プログラム 制作の7ステップ
  1. 計画を立てる(本番3か月前)— コンセプト・予算・規模を決める
  2. 載せる内容を決める(本番2.5か月前)— 項目のチェックリストを作る
  3. 判型とページ数を決める(本番2.5か月前)— 冊子の大きさとページ数を確定
  4. 原稿と素材を集める(本番2〜1.5か月前)— プロフィール・曲目解説・写真・広告
  5. レイアウトを作る(本番1.5〜1か月前)— 自作か外注かを選んでデザインに入る
  6. 3段階で校正する(本番3〜2週間前)— 原稿→レイアウト→音楽固有の順に見る
  7. 印刷発注と当日配布(本番10日前〜当日)— 入稿・納品・会場配布

上から順番に進めることが大切です。たとえば「ページ数」が決まる前に原稿を集めてしまうと、字数が合わずに後から削る作業が発生します。一見遠回りに見えても、順番を守るほうが結果的に早く仕上がります。

いつ動き出すか

目安は本番2〜3か月前です。ページ数が少ない小さなリサイタル(4〜8ページ)なら2か月前から、12ページ以上の定期演奏会なら3か月前から動き出します。協賛広告を集める場合は、営業の時間を考えてさらに1か月早めて、本番4か月前を出発点にしてください。

「もっと早くから動けるのでは」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。ただ、演奏曲目が確定しないと原稿が書けないため、曲目決定のタイミングが制作の実質的なスタートになります。曲目が固まる前に動き始めても、差し替えが頻発するだけです。

初めての担当者が最初に覚える3つの原則

迷ったときに戻る3つの原則
  1. ページ数は4の倍数で考える(中綴じ冊子の物理的な決まり)
  2. 校了は本番10日前に置く(それ以降の修正は印刷に間に合わない)
  3. 原稿の締切は入稿日より2週間前に設定する(集めるのに時間がかかる)

この3つを最初に頭に入れておくと、スケジュールづくりで大きく外すことがなくなります。細かいルールは各ステップで説明するので、いまは「4の倍数・校了10日前・原稿2週間前倒し」だけ覚えておいてください。

ステップ1|計画を立てる(本番3か月前)

最初のステップは、プログラムの全体像を決めることです。ここを飛ばして原稿集めに入ると、途中で方針がぶれて作り直しになります。

この段階で決めるのは3つだけ

決めること 決め方の目安
コンセプト 演奏会のテーマ・雰囲気・来場してほしい人を一文にする
予算 印刷代+デザイン代+広告収入差引で想定額を決める
規模(部数・ページ数のざっくり感) 会場の客席数+関係者配布+予備でおおよその部数を決める

コンセプトはチラシ・ポスターと同じ一文で揃えます。「吹奏楽部第50回定期演奏会・次の50年の始まり」のように、タイトルや副題に使える短い言葉にしておくと、デザイン段階で軸がぶれません。

予算は、プログラム単独ではなく「演奏会全体の予算のうちプログラムに使える金額」として考えます。12ページの中綴じを300部外注する場合で8万〜15万円、4ページ二つ折り100部を自作+ネット印刷で1万〜2万円が目安です。

規模はこの段階ではざっくりで構いません。「定期演奏会で400席のホール/部員40人/協賛広告あり/12ページ想定」のレベルで大丈夫です。正式なページ数は次のステップで確定します。

チラシ・ポスターと世界観を揃える

プログラムはチラシ・ポスターと同じ演奏会の印刷物セットです。表紙のデザイン・色・書体をチラシと揃えると、会場に入ったお客様が「あのチラシで見た演奏会だ」と直感的に分かります。

チラシとプログラムを別々のデザイナーに頼むと、雰囲気がばらけやすくなります。1人または1社にまとめて依頼するほうが、結果的に統一感のある制作物になります。すでにチラシが完成している場合は、そのデザインデータを準備しておくと、プログラム制作の引継ぎがスムーズです。

よくある失敗|予算を最後に決めて足りなくなる

初めての担当者がいちばん多く遭遇するのが、予算を最後に決めて途中で足りなくなる失敗です。原稿を集めてデザインを進めたあとで印刷見積もりを取って、はじめて「予算オーバー」が発覚します。

予算の決め方の手順
  1. 演奏会全体の予算のうち、プログラムに割ける額を先に確認する
  2. 予算から「印刷代」「デザイン代」「予備費(1割)」を引く
  3. 協賛広告収入の見込みを加算する
  4. 最終の上限額を「ページ数×1ページあたりの制作費」で逆算する

印刷会社のウェブサイトには、部数・ページ数ごとの料金表が載っています。計画段階で2〜3社の見積もりを取っておくと、上限の感覚がつかめます。

三浦(プランナー)

三浦
(プランナー)

「予算が決まっていないのでまず見積もりをください」というご相談を、毎月のようにいただきます。ただ、仕様(ページ数・判型・部数・紙質)が決まっていないと見積もりの幅が10万円単位で広がってしまいます。計画段階でざっくりで構わないので「400席ホール/12ページ/300部/フルカラー」まで決めてからお問い合わせいただくと、1日で概算をお返しできます。

ステップ2|載せる内容を決める(本番2.5か月前)

全体像が決まったら、プログラムに何を載せるかを決めます。ここが決まらないと、次の「ページ数」も、その次の「原稿依頼」も動けません。

すべての演奏会に共通する9項目

項目 役割 文字量の目安
公演の基本情報 タイトル・日時・会場・主催団体 表紙に集約
ごあいさつ 来場への感謝・公演への想い 300〜400字
曲目リスト 演奏順・作曲者・曲名・楽章・演奏時間 リスト形式
曲目解説 聴きどころ・時代背景・エピソード 1曲300〜500字
出演者紹介 経歴・受賞歴・活動・写真 1人120〜200字
団体紹介 主催団体の活動・沿革 300〜500字
協賛・広告 応援してくれた企業・個人への謝辞 広告ページとして独立
次回公演のご案内 次の予定の告知 100〜200字
問い合わせ先 主催者の連絡先・SNS 裏表紙に集約

この9項目がプログラムの「背骨」です。編成や規模にかかわらず、この9つが抜けていないかをまずチェックします。

編成によって増える項目

クラシック(リサイタル・オーケストラ・室内楽)
  • 作品番号(Op.・K.・BWV・D.など)
  • 作曲者の生没年
  • 調性(ハ長調・ニ短調など)
  • 原題(独・伊・仏など)と日本語題の併記
  • 楽章構成(I. Allegro/II. Adagio など)
  • オーケストラの場合は楽員名簿(パート別)
吹奏楽(部活・市民バンド・定期演奏会)
  • 部員紹介(学年・パート・代表者)
  • 定期演奏会の歴史(第◯回の年表)
  • 課題曲・自由曲の解説
  • 3年生の引退メッセージ(部活ならではの定番)
  • 協賛広告ページ(地元商店・卒業生の勤務先)
合唱(団体・サークル・コンクール)
  • 歌詞全文(訳詞を含む)
  • 混声/男声/女声・声部編成
  • 指揮者・伴奏者(ピアニスト)の独立紹介ページ
  • 団体の歴史・活動実績(地方合唱団では特に厚くなる)

合唱の場合、歌詞の掲載がほぼ必須になるため、他の編成よりページ数が自然と増えます。計画段階で「歌詞があるから16ページになる」と見込んでおくと、予算設計がずれません。

個人リサイタル(ソロ奏者主催)
  • 奏者の大きなポートレート写真(1枚以上)
  • 演奏家としての活動テーマ(プログラム全体を貫く1行)
  • 曲ごとに「この曲を選んだ理由」を語るアーティスト自身の言葉
  • 演奏会の世界観を伝える配色・書体(チラシと完全に揃える)

個人リサイタルは「奏者の世界観を伝える場」という意味合いが強くなります。情報量を詰めるより、奏者のポートレートと選曲理由を柔らかく伝えるデザインのほうが向きます。A5 4ページ・8ページのコンパクトな冊子でも十分に成立します。

著作権処理で注意するポイント

歌詞や編曲情報の掲載には、著作権の処理が必要な場合があります。演奏会プログラムづくりで見落としがちな3点を押さえておきます。

著作権処理の3つのチェックポイント
  • 演奏利用: JASRACなどの管理団体に演奏許諾を申請しているか(プログラムへの記載は任意だが、許諾番号を載せる団体もある)
  • 歌詞掲載: 管理曲の歌詞をプログラムに印刷する場合、演奏許諾とは別に「複製」の許諾が必要になることがある。訳詞も同様
  • 編曲表記: 編曲者・訳詞者の名前は必ず記載する。無断の編曲は著作権侵害になるため、既成曲のアレンジは事前に編曲許諾を取る

これらの手続きは、演奏会本体の企画段階で主催団体が済ませるのが一般的です。プログラムの担当者は、曲目リストに編曲者・訳詞者の欄を用意し、主催者から情報をもらえる体制を作っておきます。

載せるか迷う項目の判断基準

迷いやすい項目(次回公演告知・QRコード・アンケート欄・会場マナー注意書き・著作権表記)は、次の3つの質問で判断します。

  1. お客様の観覧体験に役立つか(例: 会場マナーは役立つ → 載せる)
  2. 次の行動につながるか(例: 次回公演告知とSNSのQRは次回集客になる → 載せる)
  3. ページ数を1段階増やしてでも載せる価値があるか(例: アンケート欄は4ページ分のスペース必要 → 予算と相談)

「迷ったら載せる」ではなく、紙面を奪うに値するかで判断するのがコツです。

A5・B5・A4の3判型を実寸比で並べた比較図。向いている演奏会タイプを付記
判型3択の選び方(A5・B5・A4)

自分で作るか、プロに頼むか迷ったら、無料の自動見積もりで先に料金だけ確認できます。仕様を選ぶだけで総額がわかります。

ステップ3|判型とページ数を決める(本番2.5か月前)

載せる項目が決まったら、冊子の大きさ(判型)とページ数を確定します。ここで決めた仕様を印刷会社に伝えて見積もりを取り、発注の準備に入ります。

判型はA5・B5・A4の3択

判型 仕上がり寸法 向いている演奏会
A5 148×210mm 発表会、個人リサイタル、小編成の室内楽
B5 182×257mm 学校の定期演奏会、吹奏楽部、合唱団
A4 210×297mm 大編成、広告が多い冊子、写真を大きく見せたい冊子

A5は持ち帰りやすく、発表会の記念品として場所を取りません。B5は学校の現場になじみがあり、部員紹介などの情報量にも向きます。A4は写真や協賛広告を大きく見せられますが、バッグに収まりにくく印刷代も上がります。

判型を決めるときは、お客様が帰りに持って帰る場面を想像してください。リサイタルのお客様がA4の冊子を丸めて持ち帰るのは少し大げさですし、B5の冊子はトートバッグに入ります。

ページ数は4の倍数が鉄則

中綴じ冊子のページ数は「4の倍数」でしか作れません。これは印刷会社の都合ではなく、物理的な決まりです。

印刷では、1枚の大きな紙に4ページ分を配置し、半分に折って重ねて中央を針金で留めます。つまり1枚の折り紙=4ページで、これを1枚・2枚・3枚と重ねるため、ページ数は必ず4・8・12・16・20……と増えていきます。

ただし、24ページを超える厚めの冊子では無線綴じ(背表紙に糊を塗って綴じる方法)が選べます。無線綴じなら2ページ単位の増減ができるため、22ページ・26ページといった奇数倍のページ数も可能です。周年記念演奏会や記念誌を兼ねる冊子でよく使われます。

ページ数のOK例とNG例
  • OK: 4/8/12/16/20/24/28
  • NG: 6/10/14/18(4の倍数ではないため中綴じ不可)

「どうしても10ページ分の情報量が必要」という場合は、8ページに削る12ページに増やすの2択になります。8ページに削る場合は曲目解説を短くする、奏者紹介の行数を揃える、広告ページを別刷りにするなどの工夫で対応します。12ページに増やす場合は、広告ページを増やすか、次回公演告知・団体の歴史コラムを加えます。

部数の計算式

部数は次の式で計算します。

必要部数 = 客席数 × 1.1〜1.2 + 関係者配布分 + 予備
部数の内訳
  • 来場予定人数(目標動員数)
  • 当日受付の予備(動員の5〜10%)
  • 出演者・スタッフ配布(全員分)
  • 協賛してくれた企業・個人への送付(1社1〜3部)
  • 記録保存(主催団体3部、会場1部、デザイン会社1部)

100席の会場なら120部、300席なら350部が目安です。中綴じ冊子は100部刻みの料金表を使う印刷会社が多いため、120部と出たら実際の発注は200部になります。余る80部は予備と記録保存に回す前提で、最初から200部運用を考えておきます。オンデマンド印刷なら25部・50部単位の小ロット発注ができる会社もあります。

部数を1段階増やすと、1部あたりの単価は下がる傾向にあります。「不足して慌てて追加注文」よりも「少し多めに刷って余らせる」ほうが、合計で安く済むことが多いです。

ステップ4|原稿と素材を集める(本番2〜1.5か月前)

仕様が決まったら、ここからが本番です。原稿と写真を集める工程で、制作全体のなかでいちばん時間と忍耐が必要な段階です。

誰に何を依頼するかの一覧表

素材 依頼する相手 目安日数
ごあいさつ文 主催団体の代表 1週間
曲目解説 指揮者・奏者・音楽ライター 2週間
出演者プロフィール 出演者本人 2週間
出演者写真 出演者本人(撮り下ろし or 手持ち) 1〜2週間
団体紹介 主催団体の事務局 1週間
指揮者プロフィール 指揮者本人 or 事務所 1〜2週間
協賛広告原稿 協賛企業・個人 2〜3週間
会場マップ・アクセス情報 主催団体で作成 3日

一覧表を先に作ると、誰がいつまでに何を出すかが見える化されます。この表を原稿依頼のメール文面にそのまま貼り付ければ、依頼の抜け漏れが減ります。

奏者への写真・プロフィール依頼ひな型

写真とプロフィールは、依頼の仕方で戻ってくる速さがまったく違います。以下の5点を明記して依頼すると、再依頼のやり取りが減ります。

写真依頼の必須5項目
  1. 解像度: 横1500px以上、原寸300dpi相当
  2. 形式: JPEG または TIFF
  3. 送信方法: ギガファイル便/Google Drive/AirDrop(LINEは自動圧縮で画質が落ちる・メール添付もサービスによってはサイズ制限で縮小されるため避ける)
  4. 構図: 縦向き(3:4または2:3)、胸から上または腰から上
  5. 背景: 無地の壁か、写真スタジオで撮影したもの
プロフィール依頼の必須4項目
  1. 字数: 1人120〜200字で揃える(受賞歴が多い人も絞る)
  2. 書き出し: 「○○出身。△△を経て、現在□□」の型で統一
  3. 三人称で書く(「私は」ではなく「○○は」で始める)
  4. 西暦の書き方を統一(2024年/令和6年を混ぜない)

「自由な長さでお願いします」と依頼すると、300字の人と600字の人が混在してしまい、後からデザイナーが調整に苦しみます。字数の上限を先に決めて伝えるのがコツです。

曲目解説は1曲300〜500字で十分

初めての担当者がつまずきやすいのが、曲目解説の長さです。「全曲きちんと解説しなくては」と思って、1曲2000字の大作を書いてしまう方がいらっしゃいます。

曲目解説は演奏を聴きながら読む文章です。1曲300〜500字あれば、聴きどころ・作曲背景・聴き方のヒントを十分に伝えられます。大曲(交響曲・協奏曲・オペラ)で800〜1500字、小品(アンコール・短い舞曲)で150〜300字が目安です。

曲目解説に入れる4要素(任意で組み合わせる)
  1. 作曲家について(生涯・作風・音楽史のなかの位置づけ)
  2. 作曲の背景(なぜ書かれたか、誰に献呈されたか、初演のエピソード)
  3. 曲について(形式・調性・編成・楽章構成)
  4. 聴きどころ(特徴的な旋律・ハーモニー・リズム・仕掛け)

4要素すべてを入れる必要はありません。聴き手が「これを知っていると面白い」と感じる情報を選び取ります。他の演奏会のプログラムノートや音楽事典からの丸写しは絶対にやめてください。参考にするのは構いませんが、必ず自分の言葉で書き直します。

協賛広告原稿は「締切2週間前倒し」が鉄則

協賛広告の原稿だけは、他のページより締切を2週間前倒しにします。理由は2つあります。

  1. 原稿が遅れて戻ってくる(複数の協賛先を待つ必要がある)
  2. サイズ・解像度の不備が多い(修正のやり取りが発生する)

本番2か月前に協賛広告原稿を締め切れば、2週間を組版と校正に使えて余裕が生まれます。

協賛広告の料金の相場は次のとおりです。

広告枠 中規模演奏会(300〜500部) 大学吹奏楽部・大規模(1,000部以上)
1/8枠(名刺大) 1,200〜3,000円 3,000〜5,000円
1/4枠 2,500〜5,000円 5,000〜12,500円
1/2枠 5,000〜10,000円 10,000〜25,000円
1ページ 10,000円〜 20,000〜50,000円

1/8枠(名刺大)の1,000〜3,000円帯が、地元商店への依頼でもっとも声をかけやすい価格帯です。部数や団体の規模に合わせてこの幅のなかで金額を設定し、そこを主力に階段状の料金表を作ります。

三浦(プランナー)

三浦
(プランナー)

原稿回収で本当によく起きるのが、最後の1人が出してこないというパターンです。特に指揮者・ソリスト・顧問の先生など立場が上の方ほど遅れがちです。こういうときは、他の原稿が揃った段階で「今の仮組版です」とPDFを添えて催促すると、ご自身の分だけ空白なのが視覚的に分かって動いてくださる確率が上がります。文字だけで催促するより効果的です。

予算とデザイン志向を2軸にしたツール選びの4象限マトリクス
ツール選びの4軸マトリクス

ステップ5|レイアウトを作る(本番1.5〜1か月前)

原稿が揃ったら、いよいよレイアウトに入ります。自作するか外注するかで、この段階の進め方が大きく変わります。

ツール選びの4つの判断軸

判断の軸 無料ツール(Word/Canva) プロに外注
予算 0〜1万円 数万円〜数十万円
ページ数 4〜8ページ 12ページ以上
部数 50〜100部 300部以上
仕上がり シンプルで良い 演奏会の世界観を反映したい

上の表で右側に当てはまる軸が多いほど、プロへの外注が向きます。ページ数12ページ以上・300部以上・協賛広告ありの条件が揃うと、自作は時間の負担で割に合わなくなります。

ツール別の向き不向き
  • Microsoft Word: 4ページの二つ折りなら十分。段組み機能で3段組プログラムが作れる。商業印刷には不向き
  • Canva: 8ページまでならひな型が豊富で使いやすい。CMYK書き出しは有料プラン限定(無料版はRGBで色がわずかにずれる)
  • Adobe Illustrator/InDesign: プロ仕様。12ページ以上の冊子・協賛広告ありなら第一選択。ただし操作を覚える手間と月額費用がかかる
  • プロに外注: 時間と仕上がりをお金で買える。12ページ以上・300部以上なら外注のほうが結果的に安い場合が多い

自作する場合の基本ルール

自作で商業印刷に出す場合、次の4つの設定を守らないと印刷で失敗します。

入稿データの4ルール
  1. カラーモード: CMYK(印刷で使う色の方式。画面表示のRGBのまま入稿すると色がずれる)
  2. 解像度: 原寸300〜350dpi(「dpi」は画像の細かさの単位。ウェブ用72dpiの画像はそのままでは印刷できない)
  3. 塗り足し: 仕上がりサイズの外側に3mm(断裁のズレで白いフチが出るのを防ぐ余白)。A5(148×210mm)なら154×216mmでデータを作る
  4. フォント: アウトライン化(文字を図形に変換して他のパソコンでも同じ見た目にする処理)するか、PDF/X形式で保存

Canva無料版は塗り足しつきのPDF出力自体はできますが、CMYK変換は有料プラン限定で、無料版のRGB出力は印刷会社側で自動変換される際に色がわずかにずれます。Wordは塗り足しもCMYKも扱えません。「家庭用プリンター出力で十分」という小規模な発表会を除き、色の再現性や印刷品質にこだわるならCanva有料プラン、Illustrator/InDesign、もしくはプロへの外注のいずれかになります。

外注する場合の依頼の流れ

外注の流れはおおむね次のようになります。

  1. 見積もり依頼(仕様を伝えて金額を確認)
  2. 正式発注(契約書 or 発注書の取り交わし)
  3. 資料の引き渡し(チラシデータ・原稿一式・写真素材)
  4. 初稿の確認(1週間〜10日後)
  5. 修正指示の戻し(2〜3回)
  6. 校了(最終確認)
  7. 入稿・印刷・納品

初稿提出までの日数は、原稿を渡してから1週間〜10日が相場です。修正は1回あたり2〜3日の戻り時間がかかると見込んでおくと、スケジュールが組みやすくなります。

コンサートデザインでもプログラム制作を承っています。お見積もりは無料で、公演日・会場・編成・希望ページ数の4点をお知らせいただければ概算をお返しします → お問い合わせはこちら

原稿校正・レイアウト校正・音楽固有校正の3段階を示すフロー図
一度に全部見ない 3段階の校正

ステップ6|3段階で校正する(本番3〜2週間前)

レイアウトの初稿が上がってきたら、校正に入ります。初めての担当者がもっとも失敗しやすいのが、この校正工程です。

一度に全部見ると必ず見落とす

校正の鉄則は「一度にいろんな観点で見ない」ことです。誤字も、レイアウトも、作品番号も、同時に見ようとすると必ず見落とします。

そこで、校正を3段階に分けます。各段階で1つの観点だけに集中することで、見落としが劇的に減ります。

1回目|原稿校正(誤字脱字・事実確認)

最初の校正は、文字そのものをチェックします。

原稿校正のチェック項目
  • 奏者名・作曲者名の漢字・つづり
  • 肩書き(プロ/アマチュア、学年、役職)
  • 日時・会場・主催団体名
  • プロフィール内の数字(受賞年・活動年数)
  • 電話番号・住所・メールアドレス
  • SNSアカウント名・URL

奏者名の漢字間違いは致命的です。「齋藤」と「斉藤」「斎藤」、「渡辺」と「渡邊」「渡邉」の違いは、本人確認なしでは区別できません。疑わしい名前は1人ずつ本人にメールで確認します。

2回目|レイアウト校正(整列・行間・余白)

文字が正しいことを確認したら、次はデザイン面をチェックします。

レイアウト校正のチェック項目
  • 見出し・本文の文字サイズが揃っているか
  • 行間・余白が広すぎず詰まりすぎず
  • 写真の大きさ・位置が統一されているか
  • ページ番号・柱(各ページ上下の小さな見出し)の位置
  • 塗り足し(仕上がり位置の外側3mm)が確保されているか

このチェックはプリントアウトした紙で行います。画面ではOKに見えても、紙で見ると「写真のサイズが1人だけ違う」「ページ番号が欠けている」などの違和感が見つかります。

3回目|音楽固有校正(作品番号・生没年・楽章表記)

最後に、音楽ならではのチェックを行います。ここは一般の校正者では見落としやすいため、1つのカテゴリずつ集中して見るのがコツです。

音楽固有校正のチェック項目
  • 作品番号: 作曲家ごとに決まった略号(Op.・K./KV・BWV・D.・Hob.・HWV・RV・TWV・WoO など)が正しく使われているか
  • 作曲者の生没年: 1770–1827 のような併記が全曲で揃っているか
  • 調性: ハ長調/C major のような表記を全曲で統一しているか
  • 楽章番号: I/II/III のローマ数字が大文字で統一されているか
  • 原題と日本語題の併記: 一部の曲だけ原題が欠けていないか
  • 楽章のテンポ表記: Allegro・Adagio などのイタリック指定が揃っているか
  • 合唱の場合: 歌詞のルビ、外国語詞の原語綴り、作詞者・訳詞者のクレジット

この段階で、たとえば「全曲の作品番号だけを見る」「全曲の生没年だけを見る」とカテゴリを1つずつ潰すと、見落としが激減します。

校了は本番10日前に置く

校了(最終確認が終わって印刷に回せる状態)は、本番10日前に置きます。

印刷会社の標準納期は、B5中綴じ12ページ300部で入稿から納品まで5〜7営業日が目安です。特急プランを使えば3〜4営業日で出荷されるケースもありますが、割高になります。本番前日・前々日の納品は、トラブルが起きたときに立て直す余裕がないため避けます。

校了から本番までの10日間
  • 校了(本番10日前)
  • 入稿(本番10日前〜9日前)
  • 印刷・製本(本番8日前〜5日前)
  • 納品(本番5日前〜3日前)
  • 会場への運び込み(本番前日)

リハーサル後の曲順変更・奏者の急な交代・タイトルの微調整は、本番1〜2週間前に起きがちです。校了を10日前に置いておけば、この変更を吸収できる余裕が生まれます。「早めの校了」は手抜きではなく、本番をスムーズに迎えるための保険だと考えてください。

三浦(プランナー)

三浦
(プランナー)

校正のやり取りをメールでするのはおすすめしません。10往復もすると「どの修正が反映されたか」が追えなくなります。PDFに直接赤入れして戻してもらうか、修正箇所を番号付きで一覧にしてもらうと、抜け漏れが激減します。紙にプリントして赤ペンで書き込んだものを写真で送ってもらうやり方が、いちばんシンプルで確実です。

ステップ7|印刷発注と当日配布(本番10日前〜当日)

最後のステップは、印刷会社への発注と当日の配布までの流れです。

入稿の直前チェック6項目

校了したデータを印刷会社に送る前に、次の6点を最終確認します。

入稿直前の最終チェック
  1. ファイル形式が印刷会社の指定(PDF/X-1a など)に合っているか
  2. カラーモードがCMYKになっているか
  3. 解像度が原寸300dpi以上あるか
  4. 塗り足しが3mm確保されているか
  5. ページ数が4の倍数になっているか
  6. 白紙ページにも「白紙のページ」としてデータが入っているか(空データではなく真っ白な1ページ)

6番目は意外と見落としがちです。白紙ページをファイルから省くと、印刷所で「ページが足りない」と判断されて納期が遅れます。

納品後にやる3つのこと

冊子が手元に届いたら、本番までに次の3つを行います。

納品後のチェック
  1. 検品: 指定した部数があるか、乱丁(ページ抜け・順序違い)・落丁(汚れ)がないかをランダムに数冊確認
  2. 関係者への発送: 協賛してくれた企業・個人に1〜3部ずつ郵送
  3. 配布係との事前打ち合わせ: 当日受付の配置・人数・配布の流れを共有

関係者への送付は、本番前に届けると「応援しがいがあった」と感じてもらえます。本番後でも良いのですが、お客様として来場された協賛者が当日手渡しで受け取れると丁寧です。

当日の配布の流れ

当日は次の流れで配布します。

  1. 会場入りしたらすぐに冊子を運び込む(前日搬入ができる会場ならさらに楽)
  2. 受付に配布係2〜3人を配置(大きな演奏会なら5人以上)
  3. プログラムは入場時に手渡し(机の上に置くだけだと取り忘れが出る)
  4. 予備を舞台袖にも置く(出演者が手元で確認したいときに使う)

配布係がなれていないと、受付が混雑することがあります。開場時刻の30分前にはリハーサルを兼ねて配布の流れを確認しておくと安心です。

本番3か月前から当日までの制作スケジュールをガントチャートで示した図
本番逆算スケジュール(B5中綴じ12P/300部/協賛あり)

本番逆算スケジュール早見表

ここまでの7ステップを1枚のスケジュールにまとめると、次のようになります。B5中綴じ12ページ、協賛広告あり、印刷300部を前提にしています。

本番までの期間 やること
3か月前 計画を立てる(コンセプト・予算・規模の確定)/協賛依頼の募集要項づくり
2.5か月前 載せる内容・判型・ページ数の確定/印刷会社の見積もり
2か月前 協賛原稿の締切/曲目解説・あいさつ文の執筆開始/奏者への写真・プロフィール依頼
1.5か月前 原稿一式が揃う/デザイナーへ発注(外注の場合)
1か月前 デザイン初稿の確認/関係者校正(1回目:原稿校正)
3週間前 デザイン第2稿/2回目:レイアウト校正
2週間前 デザイン最終稿/3回目:音楽固有校正
10日前 校了(最終確認が終わる)
9日前 印刷会社へ入稿
5日前 印刷・製本完了、納品
3日前 検品、協賛者への発送、配布係との事前打ち合わせ
前日 会場への運び込み
当日 配布

規模が小さいリサイタル(4〜8ページ)なら、全体を2か月に圧縮できます。ただし校了を本番10日前に置くこと、協賛原稿は他より2週間早く締め切ることの2点は、規模にかかわらず守ってください。

初めての担当者がつまずきやすい5つのポイント

7ステップを順番に進めていくなかで、初めての担当者がとくによく引っかかる場面をまとめます。事前に知っておくと回避しやすくなります。

1. ページ数が4の倍数にならないまま進む

原稿を集め終わった段階で「組んでみたら10ページになった」と気づくケースです。計画段階でページ配分を決めることで回避できます。「P1表紙/P2ごあいさつ/P3-4奏者紹介……」のように、1ページ単位で割り付け表を作ってから原稿依頼に入ります。

2. 原稿催促が「お願い止まり」で戻ってこない

「何日までにお願いします」だけでは、忙しい方はなかなか動きません。仮組版のPDFを見せながら催促するのが効果的です。自分のページだけが空白なのが視覚的に見えると、優先順位が一気に上がります。

3. 画面では読めても紙では読めない文字サイズ

画面上では大きく見えても、印刷するとびっくりするほど小さく感じます。プリントアウトして実際の会場に近い明るさで読むのが唯一の確認方法です。本文は12pt以上、行間は文字サイズの1.7倍以上を目安にしてください。

4. 曲順変更に対応できないほど遅い校了

リハーサル後の曲順変更は、どの現場でも起きます。校了を本番10日前に設定しておけば、この変更を吸収できます。前日入稿・当日印刷のような綱渡りは絶対に避けましょう。

5. 協賛原稿の入稿形式がバラバラで組版が進まない

「広告原稿はWordでもJPEGでもOK」と自由にすると、集まった原稿のサイズ・解像度・形式がバラバラになります。募集要項に入稿形式を指定(PDF または 300dpi以上のJPEG、A4換算での原寸サイズ)しておくと、組版のやり直しが減ります。

チラシ・プログラムの制作、プロに任せませんか?

演奏会の印刷物専門・年間200件以上の制作実績。
仕様を選ぶだけで、その場で総額がわかります。

無料の自動見積もりを試す

料金が気になったら

仕様を選ぶだけで、その場で総額がわかります。

無料の自動見積もりを試す

仕上がりを見てみたい方は

コンサートデザイン制作実績1
コンサートデザイン制作実績2
コンサートデザイン制作実績3

制作実績を見る

よくある質問

Q. 演奏会プログラムは本番何か月前から作りはじめればよいですか?

本番2〜3か月前が目安です。4〜8ページの小さな冊子なら2か月前から、12ページ以上で協賛広告を集めるなら3〜4か月前から動き出します。曲目確定のタイミングが実質的なスタートになるため、曲目が決まったらすぐに取りかかるのが原則です。

Q. プログラムに最低限載せる項目は何ですか?

9項目が背骨になります。公演タイトル/日時/会場/主催団体/出演者/曲目リスト/曲目解説/出演者プロフィール/主催者の連絡先です。編成によって、クラシックは作品番号と生没年、吹奏楽は部員紹介、合唱は歌詞全文などが加わります。

Q. 自作とプロ外注の分かれ目はどこですか?

目安はページ数12ページ前後です。4〜8ページで写真・広告が少なければ、CanvaやWordで自作できます。12ページ以上、協賛広告あり、300部以上のどれかに該当すると、プロに外注するほうが時間・品質・合計費用のバランスで有利になります。

Q. 判型はA4とA5のどちらが向いていますか?

持ち帰りやすさを優先するならA5(148×210mm)、情報量と写真の見せやすさを優先するならA4(210×297mm)です。学校の定期演奏会ではB5(182×257mm)もよく使われます。来場者がどうやって持ち帰るかを想像して選ぶのが一番確実です。

Q. ページ数はどう決めればよいですか?

中綴じ冊子のページ数は4の倍数(4・8・12・16・20)しか選べません。載せたい情報量から「10ページ必要」と出たら、8ページに削るか12ページに増やす、のどちらかを選びます。ソロリサイタルは4〜8ページ、吹奏楽・合唱の定期演奏会は12〜20ページが目安です。

Q. 誤字や漢字ミスを防ぐにはどうすればよいですか?

校正を原稿校正/レイアウト校正/音楽固有校正の3段階に分け、一度にいろんな観点で見ないことです。特に奏者名の漢字(齋藤/斉藤/斎藤の違いなど)は本人にメールで確認します。画面ではなく紙にプリントして見るのも基本です。

Q. 協賛広告は1枠いくらで募集するものですか?

中〜大規模の演奏会では、1/8枠(名刺大)で1,000〜3,000円、1/4枠で2,500〜12,500円、1/2枠で5,000〜25,000円、1ページで10,000〜50,000円が目安です。1/8枠の1,000〜3,000円帯が地元商店への依頼でもっとも声をかけやすく、階段状の料金表を作るときの出発点にしやすい金額です。

コンサートデザインのプログラム制作

コンサートデザインでは、演奏会プログラム・パンフレットの制作をお受けしています。年間200件以上の実績から、ソロリサイタル・吹奏楽・合唱・オーケストラなど、あらゆる編成に対応します。

商品仕様

項目 内容
サイズ A4・B5・A5
印刷紙 コート紙/マットコート紙
仕様 フルカラー/白黒
製本 中綴じ(8・12・16・20P)/二つ折り(4P)/三つ折り(6P)
印刷単位 100部単位
修正回数 無制限

※ コンサートデザインは当サイトの運営サービスです。

料金表(100部基準の早見表)

ページ数 製本方法 A5(100部) B5(100部) A4(100部)
4P 二つ折り 31,800円 35,430円 36,350円
8P 中綴じ 75,810円 77,800円 79,520円
12P 中綴じ 104,130円 110,800円 113,500円
16P 中綴じ 131,940円 141,940円 139,570円

※ すべて税込、デザイン代・用紙代・印刷代・送料が含まれます
※ 200部〜2000部の詳細料金・モノクロ割引はプログラム制作ページでご確認いただけます

ご予算や編成に合わせて最適な仕様をご提案します → お見積もりのお問い合わせはこちら

関連記事

コンサートデザインが提供していること

コンサートデザインはクラシックや吹奏楽などの演奏会のチラシやプログラム、チケットなどを専門に、年間200件以上の実績があります。初めての担当者の方にも、仕様決定から印刷入稿まで手順を追ってご案内します。

お見積もりは無料です。公演日・会場・編成・ご希望のページ数の4点をお知らせいただければ、概算をお返しします。

お問い合わせはこちら
ご利用ガイドを見る
制作実績を見る