コンサートホールでオーケストラの演奏会をビデオカメラで撮影する様子

オーケストラ・管弦楽の演奏会撮影 ― カメラ台数の考え方と収録の勘所

オーケストラの定期演奏会を、映像に残したい。そう考えたとき、まず迷うのが「カメラは何台にすればいいのか」ではないでしょうか。

結論から言うと、大編成のオーケストラは一台のカメラだけでは魅力が伝わりにくく、三台以上で撮り分けるのが基本です。ステージ全体、奏者のアップ、指揮者の表情などを切り替えることで、当日の演奏が生き生きと残ります。

この記事では、なぜ台数が要るのか、自分たちの楽団には何台が向いているのか、そしてオーケストラならではの撮影・録音の勘所まで、順番に見ていきます。読み終えるころには、見積もりを取る前に決めておくべきことがはっきりします。

パブットは演奏会・コンサートの収録を専門に手がけてきた制作会社です。これまで数多くのオーケストラの本番を、撮影・録音・写真までひとつの窓口で記録してきました。その現場の経験をもとに、発注する前に知っておくと安心なことをまとめました。

この記事の要点

  • 大編成のオーケストラは一台のカメラでは魅力が伝わりにくく、三台以上で撮り分けるのが基本です。曲の中のソロまで狙って撮るには、楽譜を見ながら、いま撮るパートをカメラマンへ伝える担当が付く「スコアディレクター」(別料金のオプション)を付けます。
  • カメラの台数は「楽団の規模」「予算」「映像の使い道」で決めます。配るための記録なら少なめ、独奏者や各楽器をしっかり残したいなら台数を増やします。
  • オーケストラは響きが命です。映像と録音を同じ会社にまとめ、録音担当がつく「高音質録音」(別料金)を付けると、音のバランスまで整えた一本に仕上がります。
  • 著作権が切れていない曲を録画して、ディスクや動画のデータにするときは、演奏とは別に著作権の手続きが必要になります。インターネットに載せる場合も含めて、発注の前に確認しておくと安心です。
  • 費用は、写真や録音だけなら数万円台から、映像は台数によって十数万円台から数十万円台までと幅があり、自動見積もりで目安を確認できます。

1. オーケストラの演奏会収録とは

オーケストラの演奏会収録とは、撮影・録音・写真によって、本番の演奏をまるごと記録することです。映像で見た目を、録音で響きを、写真で一瞬の表情を残します。記録した映像は、ディスクにするほか、動画のデータでお渡しすることもできます。

オーケストラの収録が、ソロや少人数の合奏(アンサンブル)など小さな編成の収録と大きく違うのは、奏者の人数が多いことです。ステージは横に広く、前後にも奥行きがあります。会場も大きなホールであることが少なくありません。少人数の演奏会の撮り方は、「室内楽・ソロ・リサイタルの演奏会の撮影 ― 表情も手元も、その対話まで残す」で紹介しています。

人数が多く、ステージも広いため、オーケストラでは「どこを、どう映すか」「どう音を捉えるか」の組み立てが、仕上がりを大きく左右します。

2. なぜ一台のカメラでは大編成のオーケストラの魅力が伝わらないのか

一台のカメラを客席に固定して撮ると、ステージ全体を広く映した映像しか残りません。全体を入れると奏者の一人ひとりは小さく映り、客席に背を向けて立つ指揮者は後ろ姿しか映りません。独奏者の指先や、楽器どうしの掛け合いも、この映像では見えません。

そこで、複数のカメラを同時に使って撮ります。この撮り方をマルチカメラ撮影といいます。台数ごとに撮れるものの違いや、カメラの役割の分け方は、「演奏会のマルチカメラ撮影|カメラの台数で変わる映像と選び方」にまとめています。

たとえば、ステージ全体を映すカメラ、奏者を大きく映すカメラ、指揮者の正面を映すカメラ、というように役割を分けます。本番のあとは、編集でいちばん良い場面に切り替えながら一本にまとめます。

すべてのカメラで同時に撮っているので、聴かせどころが右側の楽器のソロから左側の楽器へ移っても、編集の段階でぴたりと合わせて切り替えられます。ただし、本番中にどのカメラも映していなかった場面は、編集であとから足せません。

オーケストラでは、曲の中でソロや聴かせどころが次々に移ります。それを狙って撮るには、楽譜を見ながら、いま撮るパートをカメラマンへ伝える担当(スコアラー)が要ります。カメラマンは、カメラを動かしながら同時に楽譜を追うことができないためです。

パブットでは、これを「スコアディレクター」という別料金のオプションでお引き受けしています。演奏する曲の楽譜をもとに撮影用の台本を作り、本番ではスコアラーが一名ついて、その指示に合わせてカメラマンが撮ります。このオプションは、カメラマンが二名以上になるプラン(3章で紹介するスタンダード以上)で付けられます。

スコアディレクターを付けない場合は、カメラマンがその場の判断で、気づいた範囲のソロに寄ります。演奏会の撮影に慣れたカメラマンが担当しますが、楽譜を追いながら狙って撮ることはできないため、すべてのソロを撮れるとはお約束できません。

3. カメラは何台必要? ― 台数の考え方

カメラ2台・3台・5台以上で撮れるものを比較した表。3台が多くのアマチュアオーケストラの基本

カメラの台数は、「楽団の規模」「予算」「映像の使い道」の三つで決めます。台数が増えるほど撮り分けが細かくなり、見ていて飽きない映像になりますが、そのぶん費用も上がります。多くのアマチュアオーケストラにとっては、三台が基本になります。

台数を考えるときは、カメラの台数とカメラマンの人数を分けて見てください。ステージ全体を映すカメラと、指揮者の正面を映すカメラは、向きを決めて置いておく固定のカメラなので、人がつきません。指揮者の正面を映すカメラは、指揮者の顔が見える舞台の側に置きます。奏者のアップを撮るカメラには、カメラマンが一名ずつつきます。そのため、同じ三台でも、カメラマンが一名のプランと二名のプランがあります。

パブットのオーケストラのプランは、次の五つです。

  • シンプル(カメラ二台・カメラマン一名)は、ステージ全体を固定のカメラで映し、カメラマンが奏者のアップを撮ります。指揮者用のカメラはありません。
  • ベーシック(カメラ三台・カメラマン一名)は、シンプルに、指揮者の正面を映すカメラを足したプランです。
  • スタンダード(カメラ三台・カメラマン二名)は、全体を映す固定のカメラに加えて、二名のカメラマンが二台で奏者のアップを撮ります。オーケストラでは定番のプランで、スコアディレクター(別料金)もこのプランから付けられます。
  • プロ(カメラ四台・カメラマン二名)は、スタンダードに、指揮者の正面を映すカメラを足したプランです。
  • プレミアム(カメラ五台・カメラマン三名)は、カメラとカメラマンがいちばん多く、より細かく撮り分けられます。

映像を団員に配るだけなら、二台でも足ります。団の紹介に使いたい、独奏者に渡したい、聴かせどころの楽器をしっかり残したい、といった場合は、台数を増やす値打ちがあります。

指揮者の表情も残したいときは、指揮者用のカメラが入ったプラン(ベーシックやプロなど)を選びます。

映像撮影の費用は、台数によって十数万円台から数十万円台までと幅があります。具体的な金額は編成や台数で変わるため、オーケストラ収録の料金案内や自動見積もりで確認してください。

4. オーケストラ収録ならではの注意点

オーケストラ収録のステージ配置を上から見た図。弦・木管・金管・打楽器の並びと客席のカメラ位置、吊りマイクの位置

オーケストラの収録には、小さな編成にはない難しさと面白さがあります。広いステージのどこに何が置かれ、どの瞬間にどの楽器が主役になるのかを分かっていないと、肝心の場面を撮り逃してしまいます。ここでは押さえておきたい点を整理します。

まず、ステージの奥行きです。前列の弦楽器から後列の打楽器や金管楽器までは距離があり、後ろの楽器を大きく映すにはカメラの置き場所がものを言います。

次に、聴かせどころの映し方です。弦・木管・金管・打楽器のうち、いま主役になっている楽器を狙って大きく映すには、2章で紹介したスコアディレクター(別料金)を付けます。

協奏曲(独奏者とオーケストラが共演する曲)では、オーケストラの全体に加えて、独奏者の表情と手元も撮ります。独奏者をどう撮るかは、カメラの台数とあわせて、見積もりのときにご相談ください。

また、第九のように合唱が加わる演奏会では、編成がさらに大きくなり、独唱者・合唱・オーケストラをそれぞれ押さえる必要があります。大編成になるほど、複数のカメラで撮り分ける効果が大きくなります。合唱の撮り方は、「合唱・コーラスの演奏会の撮影 ― 歌声の感動をそのまま残す収録のコツ」でくわしく紹介しています。

5. 映像と音をひとつの窓口で整える

オーケストラの収録では、響きをきれいに残すことが映像と同じくらい大切です。映像のプランだけのときは、会場に備え付けの吊りマイクで録った音を映像に入れます。

音にもこだわりたい場合は、カメラマンとは別に録音担当が一名つく「高音質録音」という別料金のオプションを付けられます。会場の響きや編成を考えて選んだマイクで録り、音を整えてから映像に合わせます。録音の考え方は、「演奏会の録音方法とは?プロのマイクの置き方とハイレゾ仕上げの裏側」でくわしく紹介しています。

映像と録音は、別々の会社に分けず、同じ窓口にまとめて頼むことをおすすめします。別々に頼むと、あとで音と映像を合わせる手間がかかり、音の仕上がりに誰が責任を持つのかもあいまいになりがちです。

パブットは撮影・録音・写真を一つの窓口でお引き受けしています。映像に高音質録音を付けると、録った音を整えてから映像に合わせた一本に仕上げられます。これは、映像だけ、写真だけを専門にする会社にはない強みです。録った音をCDにする流れや頼み方は、「演奏会のCDを作るには?録音から完成・配布までの流れと頼み方」で紹介しています。

6. 演奏会の種類別の収録のコツ

ひとくちにオーケストラの演奏会といっても、目的によって収録のコツは変わります。映像を誰に届けたいのかを先に決めておくと、当日の撮り方も、お届けする形も無駄なく決められます。

定期演奏会は、楽団にとって節目となる本番です。その映像は、団員へ配る記録と、団の保存用をかねることが多くあります。全体をしっかり残しつつ、それぞれの団員が自分の姿を確認できるような撮り分けが喜ばれます。

依頼演奏会や、他団体と一緒に開くジョイントコンサートでは、共演する相手や主催者との調整が必要になります。誰に映像を渡すのか、配信してよいのかを、早い段階で決めておくと安心です。

7. 発注の前に確認すること

オーケストラの収録を頼むとき、当日になって慌てないために、先に確認しておきたいことがいくつかあります。

一つめは著作権です。入場無料・営利目的でない・出演者に報酬を払わない、という三つを満たす演奏会なら、演奏そのものについての手続きは要らないことが多いです。

ただし、著作権が切れていない曲の演奏を録画して、ディスクや動画のデータにする場合は、演奏とは別に著作権の手続きが必要になります。インターネットに載せる場合も、載せる場所や使い方によっては手続きが必要です。作曲者が亡くなってから七十年以上が経った古い作品などは、著作権が切れていて手続きが要らないこともありますが、同じ曲でも編曲された楽譜では扱いが変わります。

判断に迷うときは、発注の前にJASRAC(日本音楽著作権協会)や会場にご確認ください。曲の著作権の手続きは、お客様にお願いしています(学校に関わる演奏会は、見積もりのときにご相談いただけます)。なお、お届けした映像そのものは、団のホームページや動画サイトに載せていただいてかまいません。

二つめは、配る枚数とディスクのことです。団員に配るなら何枚必要か、早めに見当をつけておきます。長い演奏会では、ディスクが二枚組になることもあります。DVDとブルーレイの違いや、枚数の決め方は、「演奏会のDVD・ブルーレイ制作 ― 違い・枚数・パッケージの選び方」でくわしく紹介しています。

三つめは、ご依頼のあと本番までの準備です。先に知っておくと、当日になって慌てません。

  • 撮影のやりとりをする窓口の担当者を一名決めておく。
  • 会場に、備え付けの吊りマイクを使うことと、機材車を停める場所の確保を頼んでおく。
  • 当日の進行表を、本番の2週間前までにメールで送る。
  • ご依頼が決まったときにお送りするフォームで、編集についての質問に答えておく。

カメラを置く席は、本番の1週間ほど前にパブットが会場と打ち合わせたうえで、位置をお知らせします。吊りマイクについて会場に頼む中身はプランによって変わるため、ご依頼が決まったときにお伝えします。

最後に納期です。確認用の映像は、本番から約1か月半後(9〜12月の本番は約2か月後)を目安にお送りします。直したい点を反映してから完成版をお届けします。ディスクは、完成版の内容とご注文の枚数が確定してから、14営業日以内に発送します。配りたい時期が決まっている場合は、見積もりのときに伝えてください。

発注前の確認が終わったら、そのまま見積もりへ

8. パブットのオーケストラ収録 ― 収録専門の現場から

パブットは、演奏会・コンサートの収録を専門にしてきた制作会社です。これまでに200以上のホール・サロンで、撮影と録音を重ねてきました。撮影から映像の編集、録音、写真、ディスク制作や配信まで、本番を記録するための工程を一つの窓口で一貫して手がけています。

市民オーケストラから学生オーケストラ、小さな編成の楽団まで、規模を問わず収録してきました。ご予算に合わせて、台数や仕様を一緒に考えます。

撮影は、音楽の演奏会を専門に撮ってきたカメラマンが担当します。その多くは、自身も楽器を演奏してきました。

大編成の撮り分け、協奏曲の独奏者の見せ方、合唱が加わる第九のまとめ方など、こうした相談にも現場の経験からお応えします。

実際の収録映像のサンプルや、ご依頼いただいた楽団の声は、収録サンプルとお客様の声でご覧いただけます。発注の前に、仕上がりの雰囲気をぜひ確かめてください。

よくある質問(FAQ)

オーケストラの撮影はカメラ何台がいいですか?

多くのアマチュアオーケストラでは、全体と奏者のアップを撮り分けられる三台以上が安心です。指揮者の表情も残したいときは、指揮者用のカメラを含めた台数にします。配るための記録なら二台でも足りますが、独奏者の表情や各楽器の聴かせどころまで残したいなら台数を増やします。楽団の規模と映像の使い道に合わせて選びます。

撮影と録音は別々の業者に頼んだほうがいいですか?

オーケストラは響きが大切なので、映像と録音は同じ会社にまとめて頼むことをおすすめします。別々だと、あとで音と映像を合わせる手間がかかり、音のバランスの仕上がりにも差が出やすくなります。ひとつの窓口にまとめて、映像に高音質録音(録音担当がつく別料金のオプション)を付けると、録った音を整えてから映像に合わせた一本に仕上がります。映像のプランだけのときは、会場に備え付けの吊りマイクで録った音が入ります。

演奏会を録画してディスクにするのに著作権の手続きは必要ですか?

入場無料・営利目的でない・出演者に報酬を払わない、という三つを満たす演奏会なら、演奏そのものの手続きは要らないことが多いです。ただし、著作権が切れていない曲を録音・録画して、ディスクや動画のデータにする場合は、別に著作権の手続きが必要になります。インターネットに載せる場合も、載せる場所や使い方によっては手続きが必要です。作曲者が亡くなってから長い年数が経った曲は手続きが要らないこともありますが、編曲版などは扱いが異なります。曲や会場によって変わるため、発注の前にJASRACや会場へ確認しておくと安心です。

協奏曲で独奏者もしっかり撮ってもらえますか?

はい。カメラマンが操作するカメラで、独奏者の表情や手元をアップで撮ります。カメラマンが一名のプランでは、そのカメラがほかの奏者のアップも兼ねるため、独奏者を撮れる場面は限られます。独奏者をどう撮るかは、カメラの台数とあわせて、見積もりのときにご相談ください。

第九など合唱が入る大きな編成も撮れますか?

はい。合唱が加わると編成が大きくなり、ステージの幅も広がります。全体を収めながら、独唱者・合唱・オーケストラをそれぞれ押さえられるように、カメラの台数と置き場所を調整します。大編成ほど、撮り分けの効果が大きくなります。

本番までに、こちらで何を準備しておけばいいですか?

撮影のやりとりをする窓口の担当者を、一名決めておいてください。備え付けの吊りマイクを使うことと、機材車を停める場所の確保は、お客様から会場へ頼んでいただきます。当日の進行表は本番の2週間前までにお送りいただき、編集についての質問にもフォームでお答えください。カメラを置く席は、パブットが会場と打ち合わせたうえでお知らせします。お客様との事前の打ち合わせは、基本的にはこのフォームだけです。

撮影してから映像が届くまで、どのくらいかかりますか?

確認用の映像は、本番から約1か月半後(9〜12月の本番は約2か月後)を目安にお送りします。直したい点を反映したあと、ディスクの場合はご注文の枚数分の制作とパッケージの印刷へ進み、完成版の内容とご注文の枚数が確定してから、14営業日以内に発送します。配りたい時期が決まっている場合は、早めに発注し、見積もりのときに納期を確認してください。

まとめ

オーケストラの演奏会収録は、いくつかの点を押さえれば迷いません。まず、大編成は一台のカメラでは伝わりにくいので、三台以上での撮り分けを基本に考えます。台数は、楽団の規模・予算・映像の使い道で決めます。曲の中のソロまで狙って撮るなら、スコアディレクター(別料金)も付けます。

次に、オーケストラは響きが命なので、映像と録音をひとつの窓口にまとめて高音質録音(別料金)を付けると、音まで整えた一本になります。録画したものをディスクにしたりインターネットに載せたりするときは、著作権の手続きを早めに確認しましょう。また、撮影のやりとりをする窓口の担当者も、早めに決めておきましょう。これだけ整えておけば、見積もりも当日も迷わずに進められます。

パブットは収録を専門に、オーケストラの撮影から録音、ディスク制作までを一貫して手がけています。

見積もりは無料です。いくつかの質問に答えるだけで、その場で概算がわかります

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この記事の監修

株式会社パブット 収録チーム

演奏会の撮影・録音の専門会社。年間200件以上の収録を手がけ、これまでに200以上のホール・サロンで演奏を記録してきました。私たちについて

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